ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年10月24日
 酒日誌 本日記 

 『酒日誌』はマガジンハウスから出ている。『本日記』は本の雑誌社から出ている。要するに、書かれた場所は違うということなのだけれど、書き手の体験したイベントやそのことが書かれている日付は、多少のズレがありながらも、重複しているのだが、まったく違った視点の持ち方、また文章の書き方がなされているため、完全に異なった印象をこちらに与えてくれるところに、坪内祐三という書き手の、書き手としてのモラルやスキルの高さを感じさせる。さすが(というか当たり前のことなのだが)原稿の二重売りを執拗に突く人だけのことはある、周到さである。そのようなわけで、双方を比べた印象をいえば、ある種の交友録に見えなくもない『酒日誌』よりも、種々の本を買う読むの記録に近しい『本日記』のほうが、愉しく読めた。それというのはもちろん、読み手である僕の指向性がそういうものだからなので、べつに『酒日誌』が詰まらないというのではなく、どこそこの雑誌にこれこれこういう記述があった、という話よりも、文壇バーに行ったら××(有名な批評家の名前などを入れてください)が飲んでいてどうだった、というような話が好きな向きには、『酒日誌』のほうが、おもしろみを強く感じられるだろう。たとえば僕なんかは、『本日記』の、小林秀雄の各新聞紙における死亡記事を読み比べる段(P28)などに、へえ、と引きつけられるのである。ところで『本日記』、小島信夫の『別れる理由』を探し求めるくだりで、一箇所だけ唐突に『別れの理由』になっているところがある(P46)のだけれども、これは、単純に誤植なのだろうか、それとも何か意図があってのことなのだろうか、と気になってしまうのは「誤植が未来を予言する」という節で、とある本の誤植に触れ、おもしろおかしく書かれていたりもするからなのだった。

・その他坪内祐三の著作に関しての文章
 『「近代日本文学」の誕生―百年前の文壇を読む』について→こちら
 『考える人』について→こちら
 『同時代も歴史である 一九七九年問題』について→こちら
 『古本的』について→こちら
 『『別れる理由』が気になって』についての文章→こちら
 『私の体を通り過ぎていった雑誌たち』についての文章→こちら
 『文庫本福袋』についての文章→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(06年)
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