ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年10月20日
 「近代日本文学」の誕生―百年前の文壇を読む

 『「近代日本文学」の誕生―百年前の文壇を読む』は、その題名のとおり、今から約100年前、明治32年(1899年)から明治39年(1906)年までのあいだ、当時の日本文学というか文学に携わる人びとがどのようであったかを、坪内祐三が、一月ごとに象徴的な出来事を調べ、扱い、並べた新書で、「はじめに」の段にあるように、現在においては純文学とほぼイコールである自然主義の本格的な台頭や、近代作家のうちでもっとも知名度の高いといえる夏目漱石が活躍していた頃ではなく、その登場を準備した時期のことを主にまとめたもので、ここではまだ、漱石も石川啄木も正宗正鳥も文壇における重要な人物ではないし、田山花袋の『蒲団』は書かれていない。すなわち江藤淳の評伝『漱石とその時代』後半や関川夏央・谷口ジローのマンガ『「坊っちゃん」の時代』のなかで捉まえられている段階の、そのすこし前の時代が集約されていることになる。坪内の記述は、いっけん淡泊であり、時系列にそって事実がじつに事実的に列挙されているだけに見えなくもないが、しかし、たとえば複数の文献を照らし合わせ、明治33年に漱石がロンドンへ渡るさい、南方熊楠とニアミスしていた事実を発見するあたりなど、いやいや、なかなかドラマティックに感じられたりもする。

・その他坪内祐三の著作に関しての文章
 『考える人』について→こちら
 『同時代も歴史である 一九七九年問題』について→こちら
 『古本的』について→こちら
 『『別れる理由』が気になって』についての文章→こちら
 『私の体を通り過ぎていった雑誌たち』についての文章→こちら
 『文庫本福袋』についての文章→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(06年)
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