ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年10月11日
 〈『人間は死ぬまで一人ぼっちだという事実』と……『人間は一人では生きていけないという事実』……大事なんは……『人間は一人では生きていけないという事実』の方じゃと思う!〉というメッセージが、ただのセリフ以上にはなっていないにしても、けっこうぐっとくる、この8巻の最後に収められているマッスルくんの卒業のような単発エピソードにこそ、やはり柳内大樹の資質がよく出ており、『ギャングキング』のおもしろみになっている、と思われる。それというのは裏を返すと、長期にわたるエピソードを支える構成力と、いかんせんケンカの場面における盛り上げ方、見せ方に、いささか不備が感じられるということでもある。事実、すこし前からピンコとの抗争はずうっとカタルシスを欠いたまま、だらだら続いているだけであるし、ここで繰り広げられているジミー対マッスルくん、バンコ対チェルシーのケンカに関しても、率直に、退屈としかいえない。まあたしかに、昨今ヤンキー・マンガのケンカは、(未検証であるが、おそらく)ハロルド作石が発明し、高橋ヒロシが広めた、あの、見開きの一撃で相手が吹っ飛ぶことで結着がつくパターンに頼り気味なところがあり、それを安易に使っていない点には高い好感が持てるのだけれども、けっしてそれ以上のものになっていないし、この巻で使われている格闘技マンガふうのイディオムも、あまりこなれていない印象を持ち、弱い。吉田聡以降、ヤンキー・マンガにおける単発エピソードは、名手と呼ばれるような描き手を持っていないので、個人的には、そちらの方面で地位を確立してもらいたいのだが、もしかしたらそれを望む読み手は少ないのだろうか。ところで、巻末のオマケ・マンガによると柳内は(長田悠幸と同い年なので)75年生まれなのか。知らなかった。このぐらいの年代が、いま現在ヤンキー・マンガのシーンで中核を担っている状況は、世代論にしてみると、けっこうわかりやすい気がする。

 7巻について→こちら
 6巻について→こちら
 4巻について→こちら
 3巻について→こちら

・『ドリームキング』に関する文章
 3巻について→こちら
 2巻について→こちら
 1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック