ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年10月09日
 『電車男』という、ある程度話題性の確保された題材を扱いながらも、いまいち不発だった気がしないでもない渡辺航のヴァージョンであったけれど、それというのはおそらく、じつはシリアス(ベタ)な指向性に支えられた原作に、渡辺の作風がうまくマッチしなかったからではないか、と思うのだが、いやまあ、原秀則のヴァージョン以外はどれもあまり振るわなかったといってしまうと、そこで話が終わってしまうので、そういうことにしておいて欲しいのは、この『ゴーゴー♪こちら私立華咲探偵事務所。』の、よい意味で無目的な内容にこそ、渡辺航というマンガ家の本質が、よおく描き表されていると考えられるからだ。華咲探偵事務所には、女局長をはじめとして個性的ではあるが、しかしやる気の感じられないメンバーが揃っており、慢性的に仕事がなく、暇な日常が続くため、新入社員である小金田一耕太郎の不安は募るばかりなのであった。そのようなわけで、作中に事件らしい事件は何一つ起こらず、いやいや起こることは起こるんだが適当にあしらわれ、ただ華咲探偵事務所という場の空気に、小金田一がじょじょに馴染んでゆく、他の登場人物たちに振り回され、ツッコミを入れる、その過程が、ギャグとしておかしい、というのではなくて、コメディとしてたのしい。おおらかで親しげな雰囲気を気楽に読める作品である。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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