ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年10月07日
 星のブンガ 1 (1)

 内容とはべつのレベルの話で、これは先月に単行本になった『椿ナイトクラブ』にもいえることなのだが、1巻が出た、何よりもまずそのことに意味がある。ここ最近の『週刊少年チャンピオン』を読まれている方であるならば、ご理解いただけると思うのだけれども、それはつまり、あの新連載と短期集中連載の嵐を、ひとまずは乗り切った証明となっているからだ。あと『キレルくん』が単行本になってくれると、個人的には、うれしい。さて。細川雅巳『星のブンガ』の大まかな雰囲気を述べるならば、特殊な能力を携えた主人公と呪いをかけられたヒロインが、過去の因縁を回収するために流浪の旅を続けるという、今日にオーソドックスなファンタジーものである。天帝エデルに仕えし翼の生えた魔人たちが、地上の人びとを襲う、そのとき、一羽の小鳥をつれた赤い道化師が、彼らの前に立ちふさがった。〈オレはディーギ〉〈お前らの敵だ〉。不敵な笑みとともに魔炎が放たれ、邪悪な者たちは焼き払われる。先ほどもいったように、物語の輪郭に、とくに目新しいところはない、とはいえ、バトルにおけるアクションは、ばっちり決まっており、なかなかに見せる。また、エデルに抗うモチベーションが、愛する人のため、といったシンプルきわまりないものであるのも、作風の快活さに一役買っているのであって、まあたしかに、心理学めいた黒い情念がややこしく絡めば、相応にエモーショナルな深みが出るのはわかるけれども、そういう面倒くさい復讐劇ばかりじゃあ、さすがに安直すぎやしないか、食傷気味で困るよ、な昨今では、こういう古典的な理のほうが、むしろ新鮮に、また力強く感じられるし、すくなくとも僕という読み手は、支持する。この巻の後半では、ディーギの仲間であるらしいリオドの、死んだ恋人を蘇らせるための、戦いが展開されるのだけれど、そちらの冒険も〈格好悪い〉を〈ダサい〉と読ませる熱血ぶりで、好きだ。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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