ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年10月01日
 蒼太の包丁(12)

 〈姉ちゃんをもう静内さ帰らせてくれませんか……東京さ出たってタダの「お運び」じゃ仕方ないでないですか〉という純ペイの弟健太郎の要望に、〈仲居だって「タダのお運び」じゃなくてプロの仕事なんだけどな〉〈うん…料理人と同じように立派な技術なんだよ〉と、困り顔で言葉を返す蒼太とさつきであったけれども、〈そうは思えないです〉と健太郎の意志は固い。しかし、じっさいに純ペイの働きぶりを目にした健太郎は、自分の認識を改めるのであったが、その給仕をつとめることが「タダのお運び」ではないことは、続いてゆくエピソードのなかで、逆に、女将修行中のさつきを苦しめることになる。『蒼太の包丁』12巻である。いくつかの失敗から、自分には「ひと通りの基礎」がないことにさつきが気づくように、食材の知識をインターネットに頼った須貝は、自分の足で直に市場を巡ることで、「職人にとって大事なこと」がいったい何であるかを知る。それもまた同様に、ある職種において基礎となる部分を発見(または再発見)することと同義だといえよう。そうした具合に、基礎、つまり成長してゆく段階の、おおもとの土台がいかに大切かが、この巻では、繰り返し描かれているように感じられる。そのことは、べつの料亭へ「助」に出された蒼太が、そこで、すっぽんの調理を教えられるさい〈命を料理してるんです〉〈僕らの仕事です〉と、「助」に行った先で出会った女性料理人に言うセリフからも、見出すことができる。

 11巻についての文章→こちら
 10巻についての文章→こちら
 9巻についての文章→こちら
 8巻についての文章→こちら
 7巻についての文章→こちら
 6巻についての文章→こちら 
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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