ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年09月09日
 『群像』10月号掲載。「創刊六十周年記念短篇特集」のうちのひとつ。舞城王太郎の『重たさ』は、わざわざ、純文学ふう、というか、私小説的に書かれた、これまでの作品でいうと『川を泳いで渡る蛇』に近しいラインの小説である。家族や恋人との悶着を扱っている、といっても、そうした語り手である〈俺〉の身の回りで起こる出来事の大半は、フィクションであろう。そのなかで作者の内面に深く関わっているのは、現在『新潮』で書き続けられている「ディスコ探偵水曜日」にも通じる「文脈」というフレーズをもって言われる、〈人は勝手に何となくの文脈を作って読み取って考えるが、そういうものの大半はどっかで拾ってきた既成のストーリーラインなんだ〉というあたりだと思われる。これはもちろん、舞城が初期の頃から書き継いでいるテーマのようなもの、僕なりに捉まえると、感情は自意識の内部にあらかじめ備わっているのか、それとも外部からの引用に過ぎないのか、といったことの言い換えである。いま偶々手元にある『熊の場所』から引けば、〈恐怖とは一体なんだろう。恐怖とは、一体何に対して生じる感情なんだろう〉ということだ。が、いずれにせよ、ここでは、そういった感情に、すくなからず人の行動を左右する「重たさ」の宿って「ある」ことが、焦点化され、題名へと表されている。

・その他舞城王太郎に関する文章
 「ディスコ探偵水曜日」
 「第三部 解決と「○ん○ん」〈第二回〉」について→こちら
 「第三部 解決と「○ん○ん」〈第一回〉」について→こちら
 「第二部 ザ・パインハウス・デッド」について→こちら
 「第一部 梢」について→こちら
 「喜びは鳥になる。」について→こちら
 「SPEEDBOY!」について→こちら
 『みんな元気。』について→こちら
 「A DRAGON 少女(ドラゴンガール)」について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(06年)
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