ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年09月07日
 冒険少年

 僕はといえば、『タッチ』は『あしたのジョー』へのオマージュ説(酒見賢一)を採りたい人間なので、あだち充のマンガにおけるラブコメ的な描写をあまり重視しないというのもあり、その諸作品のうちにもっとも多く見出すのは、たとえば、取り返しのつかないことを主人公たちがいかにして挽回するか、といった構図なのであった。やや妄言めいていることは自覚したうえでいうが、それはつまり、再戦の叶わぬ勝者(力石)をどのように敗者(丈)が乗り越えるか、の物語をめぐるヴァリエーションである。ついでに、あだちの作品で、死者が頻出するのは、それが、取り返しのつかないものを、ずばり象徴するからだといえる。そうした見方を用いると、この『ビッグコミックオリジナル』に掲載された不定期シリーズ『冒険少年』の全話に共通するのも、やはり、取り返しのつかない、この場合は、大人になってから自覚する失敗に近しい過去であることがわかるわけだが、しかし、その挽回が、当人たちのがんばりではなくて、ファンタジックな奇跡によって担われているところが、少年誌に掲載されている作品との大きな差異であろうし、そこからは逆に、あだちの描く少年マンガのうちには、努力や勝利といった、じつに汗くさい要素が過分に含まれているのだ、という事実が示されている。

・その他あだち充に関する文章
 『アイドルA』2話について→こちら 1話について→こちら
 『クロスゲーム』1巻について→こちら
 『あだち充傑作短編集 ショート・プログラム』『あだち充傑作短編集 ショート・プログラム2』について→こちら
 『タッチ [完全版]』7巻・8巻・9巻について→こちら
 『タッチ [完全版]』4巻・5巻・6巻について→こちら
 『タッチ [完全版]』1巻・2巻・3巻について→こちら
 『サンデーコンパクト あだち充コレクション』創刊号について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(1) | マンガ(06年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック

クロスゲーム 5
Excerpt: ジャンル: 本 製品分類: コミック メーカー: 小学館 プレハブ組VS一軍の壮行試合。 東雄平の三打席連続本塁打で、6回終わって3-5。 劣勢のプレハブ組&光の反撃なるか…!? そしてスタンド..
Weblog: LIP:クチコミ・レビューのコミュニティ。Wikiによる製品のまとめサイト。 (PukiWiki/TrackBack 0.3)
Tracked: 2006-09-19 02:05