ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2011年11月04日
 天審〜WORLD WAR ANGEL〜(1) (ライバルKC)

 黙示録の世界で人間として生きることの本質が試される、かのような危機感と、我々とは生態も本質も異なる存在が人間には傍迷惑な恋のモーションをかける、かのようなラブコメのミックスは、原作者である外薗昌也の集大成的なアイディアだといえるし、初期の設定に巨人のヴィジュアルを採用しているのはトレンドへの目配せなのかもしれないが、それを作画の久世蘭が若々しいロマンの少年マンガにしている。『天審〜WORLD WAR ANGEL〜』の1巻である。遠藤光流には人には言えない秘密があった。背中に奇妙な物体を生やしているのだ。やがて天使の羽を持つ美少女のエルと彼が遭遇するのは必然であった。そして二人は、分子生物学の天才である敷島と天使教団というカルトの狂った実験に投入されていく。特殊能力に目覚めた主人公に人類の未来が託される一方、彼は病んだヒロインから執拗に追い詰められる。これを大まかな概要だとすれば、非常に現代的な様式をトレースしているわけであって、セカイ系だとかナントカデレやらのコラボレーションでありヴァリエーションであるという見方もできるのだけれど、テーマのレベルで注意しておきたいのは、いかに人類と異者(エイリアン)が出会うか。おそらくは緊急事態下のコミュニケーションを通じてもたらされる混乱を、物語に整形し、具体化したなかにその真価を問うことなのだと思う。外薗の過去作、とくに哲学まじりのパニック系においては、そうした整形こそが最大の課題でもあった。『天審』というタイトルの意味深さは、どうしたって不吉なものを孕んでいる。人間と人間ならざる存在を裁かれる側と裁く側とに隔てていくことを予感させる。暗い野望によって企てられる陰謀や、惨殺を躊躇わないショッキングなシーンの頻出は、まず間違いなくカタストロフィの前触れを果たしているのである。秤にかけられた希望と絶望が、今後の展開を左右する。

・その他外薗昌也に関する文章
 『わたしはあい LOVE & TRUTH』3巻について→こちら
 『エマージング』2巻について→こちら
 『エマージング』1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(2011)
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