
お前は今、泣いていい。といわれれば、そうだ、ニューヨーク出身THIS DAY & AGEのセカンド作『THE BELL AND THE HAMMER』から溢れ出る情緒と叙情、それらの織り成すドラマには、まるで感涙の岸辺を歩かされているような気分にさせられる。いやいや本作と同様に、エモ・フィクサーのエド・ローズをプロデューサーに迎え制作された04年のデビュー・アルバム『ALWAYS LEAVE THE GROUND』も、透き通るほどに繊細なメロディを軸に、ナイーヴに凪いだ情景をポップに描く、そういうナイスな内容であったけれども、これはそれを遙かに上回る黄昏のシーンのスケッチ、筆遣いはより緻密に、心の動きに沿いながら、ゆたかに、それこそ溺れるぐらいにゆたかな濃淡を生み出してゆく。軽やかなキャッチーさは、いささか後退したとはいえ、バンド演奏の躍動はそのままに、キーボードの専任プレイヤーが正式に含まれた(5人組になった)ことで、スケールの大きな展開が組まれており、前作の大半が3分台のナンバーで占められていたのに対し、ここでは4分から5分のものがほとんどとなっている。そうした変化に、怠さを覚える向きはあるかもしれないが、コーラス・パートに達した途端もたらされるカタルシスの度合いは、あきらかに増している。まさにタイトル・トラックである3曲目「THE BELL AND THE HAMMER」こそが、そのことを如実に表すハイライトで、国籍やジャンルを限定せずにいえば、TRAVIS「WRITING TO REACH YOU」やCOLDPLY「YELLOW」級のメロウな波濤をつくり、うたわれるフレーズが真っ直ぐと伸びていくのを追いかけているうちに、あ、泣いた。
バンドのオフィシャル・サイト→こちら