ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年09月04日
 いやまあ、たしかにけっしてうまいとは言えないし、ねえこれって『HUNTER×HUNTER』と『ONE PIECE』あたりのミックスじゃない、と尋ねられれば、そうね、といった感じではあり、すでに連載自体が打ち切られているのも仕方がないかとは思うのだが、たとえば〈文字覚えたての子どもに審査される時の緊張感と同じだよ〉といった、ちょっとしたセリフ回しや、それを口にするに見合う登場人物たちの性格などが僕の趣味には合っていて、けっこう好きだ。西公平『ツギハギ漂流作家』の2巻である(ちなみに単行本は3巻まで出る)。地図には未だ記載されていない未開での冒険を文章化し、漂流録として出版することで、地位と名誉を約束される漂流作家、その大家であるフジワラ・ノ・フヒトの弟子、吉備真備は執筆のために、新しく発見されたばかりの孤島へと上陸する。行動をともにする凄腕編集者の橘は、そこで、ふたたび真備のポテンシャルの高さに驚かされることとなるのであった。じっさいの小説家(にかぎらず、創作者全般)がそうであるように、才能の評価が、知名度や金銭となって現れる世界で、真備は〈・・・でも ぼく 人の心を動かすのは 好きだな〉と自分のモチベーションを簡潔に述べる。この〈人の心を動かす〉ことだけが目指されているという、いわば理想的な理念こそが、第1話(第1刷)がはじまった時点から、『ツギハギ漂流作家』における少年マンガ性を支える核だといえる。と同時に、そのことが物語の展開とうまく噛み合っていない点が、結局のところ、作品そのものの瑕疵でもあった。この巻のおまけページによると、作者はもともとギャグ・マンガ家志望だったらしく、ところどころに、あえて組み込まれている脱力感のようなものが、シリアスさに対してマイナスの方向に働いてしまっているのだが、〈飴玉ちゃうで〜目ん玉やで〜〉のやり取りは、いま読んだら、ごめん、すこしおもしろかった。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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