ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年08月27日
 青春サバイバル

 最富キョウスケの『青春サバイバル』には、4つの、読み切り短編マンガが収められている。わりと突飛なシチュエーションのものが多い。そのなかでも、作者自身が〈このマンガ、私が歴代描いた作品の中でも1、2を争う「……あれ? なんか少女まんがっぽくねコレ?」的マンガですね〉とコメントしている「うそつきラブレター」が、もっとも心に引っかかった。たまたま学校の屋上で出会った男女が、ふとしたきっかけで手紙のやりとりをするうちに、いつの間にか深く恋し合うようになっていた、と話の運びだけを取り出してみると、人によってはジョージ朝倉の『恋文日和』あたりにあったエピソードを思い出すかもしれないけれど、そうした部分も含め、なるほど、オーセンティックなラヴ・ロマンスに思える内容となっている。が、この「うそつきラブレター」の魅力がどこにあるのかを簡単にいえば、お互いがお互いを騙している、騙されているふりをしている、といった行為の帰結が、じっさいには相手に対し真実しか告げていなかった、という物語をつくり上げているところにある。といっても、そのことはまあ、明白でありすぎるぐらい読み手には示されているわけだが、反対に、マンガの内部にいる登場人物たちにはクライマックスまで明かされないがために、切なげなフィーリングを、彼や彼女のやりとり、それから表情に滲ませることに成功している。けっして個性的ではないが、繊細さだけはしっかりと捉まえた、そういう作品であり、こうした手つきで、長めのものを描けるようになれば、作者への一般的な評価もぐっと上がるのではないか、と思う。

 『ペンギンプリンス』について→こちら
 『プリキュウ』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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