ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年08月14日
 Easy! 1 (1)

 多重人格をステレオタイプなイメージで扱った『オセロ』の軽薄さは、まあ楽しかった池沢理美だけれども、この『Easy!』の、作品のなかを生きる登場人物たちの薄っぺらさは、読んでいてあまりファニーではない。とくに主人公の有田リカである。大学に入り、ようやく出来た恋人と二六時中セックス(性交)をするために、ひとり暮らしをはじめるが、その恋人をはじめ次々と現れる男性たちに、ことごとく騙されてゆく。たしかに、19歳という年齢は、現実の世界においても、この程度には浅はかな存在なのかもしれず、その愚かさが取り出され、デフォルメされているのだとすれば、それはそうであったとしても、注意深く見ておきたいのは、そうした自業自得が、展開上の都合によりフォローされ、甘やかされてしまうことである。騙す側と騙される側、どちらが悪いかといえば、もちろん騙す側が悪い。とはいえ、そのことが騙される側の正しさを保証するわけではない。騙される側がもしも間違えていないとしたら、騙す側を裁くのは、せめて倫理でなくてはならないだろう。しかし、ここでリカが騙されることは、翻って彼女の純粋さを示すかのような、そういう表現上のテクニカルな処理、それもかなり稚拙なものでしかなくなっている。おそらく物語は、リカのアパートの隣人であるヨネとの友情のようなものを軸に今後展開していくのだろうけれども、異性への執着は愛情へと転化されて、同性からの助力は友情を補填するといった感じの、そういう人間関係の立て方自体が、『Easy!』という題名に比べて、いかにも不自由だといえる。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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