ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年08月07日
 冬至草

 石黒達昌の短編集『冬至草』には、当人が「あとがき」のなかで〈自分が純文学とSFのどちらに分類されるべき作家なのか、未だに判然としない〉といっているように、この作者ならではの科学的な視点がスタティックな文体でもって語られるといったつくりの作品が、6篇収められており、そのなかには第132回芥川賞(阿部和重が受賞した回)の候補にもなった「目をとじるまでの短い間」も含まれているのだけれども、どの小説にも、ある事象とべつの事象とのあいだに隠されている因果が、そのままこちら読み手の想像力に接続されるという、共通点がある。あるいは、そうした部分こそが、それぞれの読みどころになっているのだが、けっして謎解きを仕掛けてくる挑発や難解さのないところが、読後の、淡い感動へと繋がっているのだに思う。このなかで、もっともよく石黒の資質が現れているのは、最後の「アブサルティに関する評伝」だろう。が、しかし僕はというと、難病への抵抗をアイロニックな寓話に仕立てた「希望ホヤ」と、幻想的なイメージと現実的な硬さのアマルガムであるかのような「月の・・・・」あたりが、とくに強く、印象に残った。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(06年)
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