ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年07月28日
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 そのディケイドを指して、失われた10年というのであれば、そこで得られたものなど、たかが知れているのだろうか。というわけで、竹下堅次朗の『カケル』が、FOX出版というところから復刊され出したので、記憶を頼りに、昔話をします。正直にいって、97年に『カケル』の連載が『ヤングサンデー』ではじまった当初、すこしばかり落胆したのを憶えている。あの『パープル』の作者が推理ものかよ、と感じられたのである。金田一少年のテレビ・ドラマ化が95年で、コナンくんのテレビ・アニメ化が96年だったことを考えれば、ある程度の時代背景はわかってもらえると思う。『ヤングサンデー』の増刊で発表された『パープル』は、おおくのばあいセクシャルな面における設定や描写などで語られるけれども、じつはよしもとよしとも作品の台詞や場面の流用が少なくはなく(同様の振る舞いは、遠藤浩輝や日本橋ヨヲコの短編にも見受けられるのだが)、おそらくは、ポストよしもとよしとも、もしくはポスト岡崎京子あたりの世代が描いた、青春(モラトリアム)劇というふうに、現れるべくして現れたものだと考えられる。じっさいに『カケル』連載時に、竹下は巻末のコメントで、よしもとの「好き好きマゾ先生」をフェイヴァリットに挙げている。そういったことも踏まえ、たぶん僕は、そのころはまだ『ヤングサンデー』にいた、竹下と同い年の沖さやか(現・山崎さやか)が『マイナス』などで、自意識の脆弱さをラジカルに表現していたのにくらべ、『カケル』はといえば、竹下のセルアウトであるかのように見えたのだろう。当然、中盤以降にミステリの要素が排除され、「ぼくっていったいなに」といった問いかけが、まさか浮上してくることを知らなかった段階での話である。と、ここで昔話は終わります。ちなみに、今回の復刻に際して付せられた全話セルフレビューで、作者が、連載当時の状況などを語っているなかには、なかなかに興味深い発言もある。マンガの内容に関しては、もうすこし話が進んでから言及することにしたい。

 『COCOON』1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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