ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2011年07月15日
 マンガ家よゐよゐ (ワイドKC キス)

 これは非常に楽しい一冊である。マンガの、とくに少女マンガのファンであれば、にやにやせざるをえないトピックが詰まっているのだった。なかはら★ももたの『マンガ家よゐよゐ』だが、同業者や飲食店に取材したエッセイ・マンガは、今や決して珍しくはないのであって、その点を見るかぎりでは安易な企画に思われるし、確かにそれは作中で速やかに指摘されてはいるのだけれど、毎回の短い紙幅を通じ、意外と資料性の高いマニアックなエピソードが、ばんばん飛び出してくるところに、まるで宝の山のような輝きを得られる。登場しているマンガ家は以下のとおり。カトリーヌあやこ、久保ミツロウ、ひうらさとる、柘植文、稚野鳥子、おかざき真理、池沢理美、松苗あけみ、高須賀由枝、花津ハナヨ、水城せとな、東村アキコ。と、大御所から中堅、若手まで、ヒットメーカーがずらりと並ぶ。当然、裏話の類がおもしろくないわけがないのだが、それに演出を加えて、ショート・ストーリーのごとくルポルタージュ化していくなかはらの手つきが、最も褒められるべき個所であると思う。久保のように予てより交流の知れている作家も出てはいるものの、たとえばツイッターで対談相手を探したり、たとえばグーグル・マップで訪問先の店舗を見つけたり、の段取りには、今日ならではのエッセンスがあるし、それを入口にして、アルコール込みのコミュニケーションに描かれているのは、いわばホストとゲストのあいだの距離であろう。この距離、つまり言い換えるのであれば、なかはらの視線が、各エピソードの盛り上がりをヴァリエーション豊かにしているのだ。プライヴェートがどうの、といのは驚くほど少なく、にもかかわらず、各人の人柄が強く実感させられる。これが『マンガ家よゐよゐ』の魅力である。もちろん、毎回の主人公にあたるマンガ家たちのあれこれはどれも、デビュー以来のキャリアや創作のスタンスがコンパクトに総括されており、おおっとここで引用してしまうのがもったいないぐらいに興味深い。最初にも述べたのだったが、少女マンガのファンであれば、非常に楽しい一冊だと間違いなくいえる。

・その他なかはら★ももたに関する文章
 『おかわり のんdeぽ庵』(原作・イタバシマサヒロ)
  5巻について→こちら
  3巻について→こちら
  2巻について→こちら
 『あかねSAL☆』(原作・岡田惠和)
  4巻について→こちら
  3巻について→こちら
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(2011)
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