ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年07月27日
 そんなんじゃねえよ 9 (9)

 これにて完結の和泉かねよし『そんなんじゃねえよ』9巻である。セックス(性交)するまでには至らなかったとはいえ、ソフト近親相姦ものでありながら、最後までテンションが落ちずに、あっかるい感じが続いたまま、いちおうの大団円となった。とはいえ、主人公である静の、ふたりの兄のうち、烈が、中盤以降に影が薄くなってしまったのが、やはり、ちょっともったいなかったかな。身内の三角関係という特殊な設定と、それにともなう緊張感が弱まってしまったため、作中にある〈静ちゃんは兄妹愛と恋愛の区別がついてないだけだ〉といった台詞に、もう一方の兄、哲がうまく答えていないかっこうで物語が収まってしまっている。その台詞を言った仁村が、最後まで〈まだ全然納得してないんスけど〉と愚痴をこぼすのは、作者自身が、おそらくは無意識のうちに、そういった不備に気づいているからであろう。登場人物たちの血縁関係が入り組んでいるのは、結局、この劇があくまでもスモール・サークルのなかで繰り広げられるよう限定されているからなのだが、その狭められた範疇内の整合性は、たんに血筋の解明といった設定の開示により担われているのであり、結局のところ感情の動きは、そうした裏付けを越えてゆくほどには、説得力を成り立たせてはいない。だからこそ単純に、物語の最初からぜんぶの設定を唯一知っていた、静ら三兄妹の母である涼子の言葉だけが、特権的なぐらい、他の登場人物への強い働きかけを持っていたのである。いや、それにしても涼子はかっこうよかった。その益荒男ぶり(女性なので語義矛盾だ)が、個人的には、このマンガにおける最大のチャーム・ポイントだった。

 『二の姫の物語』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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