ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2011年06月11日
 Ascension

 元NAPALM DEATH、そしてGODFLESHという来歴を持ちながら、そもそもが極めてポップなサウンドを実践していたアーティストだけれど、さすがに3曲目の「SEDATIVES」には、ぬおお、と驚かされる。場合によってはコマーシャルとさえいっていいぐらい。とにかくキャッチーに響いてくる。タイトでいて上向きなドラムのアタックがそうさせているのだ。いや、もちろん、これまでのディスコグラフィにもアップ・テンポなナンバーがまったくないわけではない(たとえば06年のEP『SILVER』に収録されていた「STAR」を思い出されたい)のだったが、「SEDATIVES」における大胆なはじけ具合は、従来の路線を踏まえた上でなお新鮮な魅力を放っているだろう。ジャスティン・K・ブロードリック率いるJESU(イエスー)のニュー・アルバム『ASCENSION(アセンション)』である。根本は、以前までと何ら変わっていない。確かに、09年の『INFINITY』みたいな大作指向ではなく、07年の『CONQUEROR』を彷彿とさせるようなグッド・ミュージックの集成になっているが、ヘヴィなグルーヴが、ずううん、と波打ちながら地を這う一方で、フィードバックのギター・ノイズが眩いばかりのハレーションを起こし、決して声を張らないヴォーカルがやわらかなメロディに命を与えていく。非常に濃度の高い透明性とでもいおうか、幻想的ではあるもののメルヘンと形容するにはあまりにも生々しい。曇天と霧雨が見せるファントムなのかもしれないし、終焉を受け入れた瞬間の恍惚なのかもしれない。こうしたイメージは、結局のところ、微塵もぶれていないのだった。無論、キャリアを積むにつれての洗練が、あるいは持ち前の才気を音楽性の広がりに変換してきた結果としての熟練が、『ASCENSION』の類い稀な厚みを出しているに違いない。各曲のヴァリエーションもそこに準じているのであって、先ほど挙げた「SEDATIVES」のスウィートネスもそうだし、静かに奏でられていた空漠がディストーションの渦に飲み込まれる冒頭の「FOOLS」や、天使の輪のごとききらめきを発しながら深淵に果てていく2曲目の「BIRTH DAY」、スローであるにもかかわらずダイナミックに展開される5曲目の「BRAVE NEW WORLD」に6曲目の「BLACK LIES」等々、タイトル・トラックにあたり全編をインストゥルメンタルで締め括る「ASCENSION」に至るまで。色彩を欠いていることが、どうしてだろう、神秘に満ちたせつない情景を浮かび上がらせる。JESUならではのトリックに関心は奪われてしまう。美しく、儚い。憐憫を含み、それでいて埋まることのない孤独を溝にメランコリーが流れる。

 バンドのオフィシャル・サイト→こちら
posted by もりた | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽(2011)
この記事へのコメント
こんにちわ。この日の日記にコメントするのをお許しください。。

ジャニーズが好きな男子大学生です。もりたさんの音楽に対する考察を読むのが大好きです。

もりたさんの考察が読みたくて、新曲がでるたびに期待するんですが、更新なくて寂しかったです。

お忙しいとは思いますが、読者は本当にたくさんいると思うので、音楽に対する考察、とくにジャニーズに対する考察、お願いいたします。

ちなみに僕は最近失恋しました。同じ子に2回も振られました。お互い前向きに行けたらいいですね。。

こんなコメントしてすみません、なんだったら消してください。ただ、日記は本当に楽しみにしていることぉ伝えたくてコメントしてしまいました。でわでわ。
Posted by 仁亀 at 2011年08月26日 18:56
お返事遅くなりましたが、コメントありがとうございます。

こちらのブログ滞りがちになっておりますが、なるたけ更新したいとは思っていますので、今後ともよろしくお願いします。

それにしても、ああ、失恋ってとてもせつないものですね。なんだかいつも「好きになってよかった」と「好きにならなければよかった」という気持ちのあいだをうろうろしているような気がします。

しかしまあ、何はともあれポジティヴな結果はポジティヴな行動によってでしか生まれないのかもしれませんし、と考えて、お互い前向きにいきましょう。
Posted by もりた at 2011年09月07日 15:52
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