ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年02月22日
 世界の終わりの魔法使い

 西島大介2冊目の単行本。前作『凹村戦争』がSFであったならば、今作はファンタジーである。が、前者にはファンタジーが混在しており、後者にも同様にSFが混在している。要するに、ふたつの要素が影響し合っているわけだ。その関係性は、主体と他者の在り様に似ている。そして、このマンガが抱えるテーマ自体もまた、そのような間取りによって成り立っている。ストーリーのアウトラインはひじょうにシンプルだ。その村の近くには魔法使いが封印されている。そこからの影響のせいで、村人の多くが魔法を使えてしまうわけだが、なぜか「僕」だけ魔法を使えない。魔法を使えない「僕」は、魔法なんて信じないといい、みんなから馬鹿にされながらも発明に勤しむ、そんなある日、顔に包帯を巻いた不思議な少女と出会う。そのことをきっかけにして、「僕」の世界は大きく変わりはじめるのだった。いっけん『魔女の宅急便』を思わせるポップかつワンダーなボーイ・ミーツ・ガールが繰り広げられているように読めるが、中核にあるのは、少女や中盤に登場するモンスターの造形から示唆されているとおり『新世紀エヴァンゲリオン』的な挫折、いわばボーイ / ミーツ / ガールである。とすると、ふつう読後はあまり良くないものになるはずだ。が、しかし、この物語のラストは、どこかポジティヴなフィーリングに満たされている。そのような読後感がなぜ訪れるのか。君(ここではない遠い世界、あるいは他者)と僕(この世界、あるいは主体)は、一体にはなれない、けれども、一対にはなれる。といった場所からスタートを切り、影に飲み込まれた世界を飛び越える、そういう鮮やかなステップが、ばっちりオーケーと決められているからである。ただ、前作に比べると一コマ一コマの持つ濃度というか密度のようなもの(それはもしかしたら情報量かもしれない)が少なくて、その分箇所箇所でセリフがやや説明的になりすぎるきらいがあり、うーん、ってな気がちょっとした。


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ。
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