ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年07月14日
 H-ラブトーク

 桜井まちこの『H-ラブトーク-』には、『H-エイチ-』の番外編にあたる「ラブトーク」と「Code name K」の二編と、03年に発表された単独の読み切り「クレパス」が収められているのだが、そのうち女性の一途な片想いがストーキングへと発展する「クレパス」は、『本気で泣けちゃう恋』というオムニバスでも読める。その「クレパス」と、『H-エイチ-』本編ではワキであった樹と智のその後を追った「ラブトーク」とを読み比べてみると、出会いを通じて自分を変えられることができたらハッピー・エンドで、変えられなければバッド・エンドへ至るという、作者の指向のようなものが見えてくるのであった。たしかに『H-エイチ-』本編も、そうした物語だったなあ。いわゆる作中劇ふうな趣の「Code name K」では、そのことがわりと端的に描かれている。〈自分に……「価値がない」なんて言うな〉。このような言葉を、自分が自分で自分にしか与えられない場合、それはただの妄想に近しい、これは「クレパス」に内在しているテーマだとして、しかし自分以外のものが自分に与えてくれたときに、それは希望や未来となりうる、といった旨を展開させたのが「ラブトーク」だろう。ところで、桜井まちこ、デビューしてから10年だということである。当時はまだ高校生だった人物が、26歳になったというのは、いち読み手としても、なかなかに感慨深いものがあるのだった。なるほど、こうして人は歳をとっていくのだね。ちなみに。これまでのところ、この作者のものでは短編集『WARNING』に収録されている「冬の塵」が、もっとも良いと思う。

 『H-エイチ-』6巻について→こちら
 『H-エイチ-』3巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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