ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2011年05月30日
 放課後関ヶ原 1 (プリンセスコミックスデラックス)

 うんうん、やっぱりこれ、好きである。歴史の知識をホモ・ソーシャルな関係やユーモラスなプロットに置き換えることでギャグ化する、という手法は、ある意味で現代的だといえるが、阿部川キネコの『放課後関ヶ原』の1巻は、とかく悪のりの部分にかかるドライヴを、これでもか、というほどに徹底しながら、半笑いの白けムードを払拭してみせるのだった。もしかしたらテレビ番組の『戦国鍋TV』にニアなアプローチだと思うし、そこがまた好きである。

 ごく普通の高校生であるにもかかわらず、なぜか〈前世が武将だった者たちが共に学び戦う戦場(スクール)である〉戦立関ヶ原学園に転校してきた小松右京は、有名武将の生まれ変わりと次々に遭遇するのだったが、しかしそれは同時に一癖も二癖もある彼らの言動に振り回されることでもあった。だいたい、学園内のルールにしても滅茶苦茶なものばっかりじゃねえか。かくして主人公に降りかかる災難が、バトルからロマンスまで、各種のマンガ表現をパロディとするなかに描かれていくのだ。

 何より、掲載誌である『月刊プリンセス』の愛読者を「プリジェンヌ」と呼び、作外(メタ・レベル)への目配せをふんだんに盛り込むことで、えげつなさのリミットをオフにしているのが、最大の成果だろう。それによって暴走と喩えられるような幅の広いボケが繰り広げられる。まさかタイトルの元ネタはかつて『月刊プリンセス』に発表されていた水城せとなの『放課後保健室』なのかもしれないし。

 前世が不明なため流浪人扱いされる=大勢の武将に興味を抱かれてスカウトされる右京の境遇は自分探しのパロディになっているのだけれども、それを含め、なぜこんな設定になっているのかが、学園もののフォーマットと不自然なく結び付いている点は、強い。いやむしろ、前世を素質とする生徒の収容は、学園ものにおいて、一つの伝統ですらあるのだったが、そこからイレギュラーな展開に持っていく鉄腕ぶり、惚れ惚れとしてしまうはっちゃけぶりが、たいへん痛快なんだよね、なんだった。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(2011)
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