ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年07月10日
 『文藝』06年秋号掲載。『ひとり日和』は、『窓の灯』で第42回文藝賞を受賞した青山七恵の、受賞第一作になるのだけれども、まいったな、これが二作目のジンクスというやつか、かなりつらかった。せめてこの半分ぐらいの長さであれば、良いトコ探しもできたのだろうが、読み進めるうちに、その気さえガシガシ削がれていったのだから、不平不満ぐらいしか述べることがない。何よりも登場人物たちに、魅力がないというか、その身に血が通っているようには感じられない点が、致命的である。また、その書き割り程度の存在感しか持たないものが、ぼんやりと、生きることの長さを測ったり、恋愛を考えたり、セックス(性交)をしたり、〈死にたいな、と思った〉りする。正直、死ねばいいじゃんね、勝手にしてよ、といったところだ。フリーターで来年21歳になる〈わたし〉は、母親が仕事の都合で単身中国へ渡ることをきっかけに、東京での一人暮らしを希望するが、金銭的な問題や手続きの面倒があって、親類で71歳の女性が住む家に転がり込むことになる。そうして、ふたりの間に流れる1年という時間を、または若者と老人という二者の間に異なる速度として横たわる日々を、小説は追っていくことになるのだけれども、いかんせん彼女たちの表情がいっさいイメージできないために、まあ、それはこちらの読解力のないせいならごめんなさいなのだが、しかし裏を返せば、それを説得するだけの力がそちらにないということでもあるのでしょう、だいいち「カギ括弧」が続く会話の場面ではいったい誰が誰に向けて喋っているのか途端に区別がつかなくなるのが困る、というわけで気分としては、どうでもいいよお、となってしまうだった。

 『窓の灯』について→こちら
posted by もりた | Comment(4) | TrackBack(6) | 読書(06年)
この記事へのコメント
「ひとり日和」昨日読了しました。
ずっと忙しくて購入してからも全然
読んでなかったんですよね…。

書評を読んでから小説を読んだのですが、
僕的には2作目のジンクス的なものは
感じませんでしたね…。
「青山七恵って多分こんな小説をずっと
書いていくんだろうな〜。」ぐらいにしか
思いませんでした。
魅力がない、血が通っていないと言うのは
「窓の灯り」の時にも感じましたが、
それはそれでいいのかなと…。

ただ「カギ括弧」が続いた時は同じ事を
思いました。『これってどっち…?』と。

でもこの人にはずっと小説を書いていって
欲しいなと思います。
Posted by 誠 at 2006年08月13日 00:52
誠さん、どうもです。
ひとつの作品(テクスト)に対しては、いろいろな意見が出てくるというのが、まっとうなことなので、コメントおもしろく拝見しました。
小説(文章)が上手い下手だけで測れるか、というのは難しいことではあるのですが、やっぱり青山七恵はそんなに上手くはないだろう、というのが僕の感想のおおもとにはあります。
とはいえ、そういった部分は活動を続けていくことにより、もちろん成長しうるものだと思うので、誠さんが言うように、今後も書き続けて欲しいところではあります。
Posted by もりた at 2006年08月14日 13:54
こんにちは、以前綿矢さんの作品についてコメントした*yuka*です。
今までに読んだ本の書評をぼちぼちブログに載せていこうと思って、ひとり日和の世間一般の評価は!?と思い検索したらこのブログが一番目にヒットしました(笑 さすがです。

カギ括弧が続く会話の場面、私も全く同じように感じました。
Posted by *yuka* at 2006年11月04日 13:29
*yuka* さん、こんにちは。
*yuka* のさんの書評のなかにある、ふたりの登場人物を「所有」することに「重点」を置くか置かないかの対比で見る目線は、自分のなかにはなかったので、あー、と思わされました。
Posted by もりた at 2006年11月05日 15:53
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