ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2011年05月21日
 WHITE(初回限定盤)(DVD付) WHITE(通常盤/初回プレス仕様) WHITE

 我々は一人でいるかぎりは孤独だが一緒にいられるなら孤独ではない。単純な真理は、それが単純であればあるほど、心を励ますことができるし、ときに傷つけたりもする。なぜならば、手を取り合える距離や関係を常に持てるわけではないからだ。しかし君を信じられること、そして君が信じてくれることからは、たとえ共にいられなくとも不安に負けないだけの強さが分けられてくる。こう、KAT-TUNの通算15枚目となるシングル『WHITE』の通常盤(初回プレス)の3曲目に収められた「勇気の花」は教えているかのようだった。

 好きな楽曲であるし、実際に今回のなかでもとくにすぐれたナンバーであろう。まず何よりそこに託されたメッセージが、KAT-TUNというグループの現在を通し、かけがえのないイメージを得ているところに大きな魅力を感じられるのだけれども、もちろんのことそれは、歌詞やメロディにあてられている詩情を、メンバー5人のヴォーカルが、余さずにすくい上げているためであって、エモーショナルと言い換えてもいいデリケートな揺らぎが、せつなさを決して暗いものとはしていない点に自然と胸を打たれる。

 あくまでも直感で述べさせてもらうと、「勇気の花」には『喜びの歌』(07年)にカップリングされていた「Your side」を彷彿させる部分があると思う。無論、当時の状況を考えるに当初は5人編成で想定されていた可能性のある「Your side」と現実的に5人編成で制作された「勇気の花」とのあいだに何かしらの近づきが立ち現れていることは、ある種の必然だといえるかもしれない。スローなバラードとは異なったリズムとテンポに三日月や雨音が抱くのにも似たせつなさが刻まれているのだったが、そのとき、「勇気の花」においては、イントロに端を発して鳴り響くピアノのループが、静かな、しかし確かな孤独をバック・グラウンドに用意していくのである。

 ああ、だからこそ、田中くんによって〈もし君が笑うことを忘れたなら・そばに行って隣・ピエロのふりではしゃぐ〉と、おそらくは彼のペルソナにかけてつくられたフレーズが歌われる出だしには、もうそれだけで痛みに喩えられる印象が備わっているのではなかったか。だがすでに述べたとおり、「勇気の花」はやがて、せつなさが悲しみに止まらない場所へと物語を運ぶ。

 コーラス以外のパートは、田中くんからはじまって、上田くん、亀梨くん、中丸くん、田口くん、の5人にけっこうはっきり割り振られている。5人が入れ替わりながら、勘所を押さえていく。ここで重要なのは、それまで各人が一人で負っていたいくつもの願い、祈りが、コーラスに至って重なり、ユニゾンを為していく楽曲の構成であって、あの特徴的なピアノのループが消えると同時に〈聞こえるかい?〉という問いかけ、そして〈WE WILL MAKE YOU SMILE 笑って・少しずつ優しさ集めたら・ほら、勇気の花が咲く・そう、君のため・そう、遠くまで・届くように・笑顔(はな)を咲かそう〉という励まし、支えをもたらしてくることだ。

 正直な話、現在の、つまりは5人編成のKAT-TUNのヴォーカルは、上手い下手とは完全にべつのレベルで、線が細い。それが全員の声質に起因する問題である以上は免れようがないのだったが、むしろその線の細さが「勇気の花」では、インパクトの弱さを覚えさせるものではなく、一人であることの寂しさをよく浮かび上がらせる役割を果たしているので、ついにユニゾンの厚みを得た瞬間、正しく一度目のコーラスの直前に亀梨くんが懸命なファルセットで〈独りじゃないよ・仲間がいるよ・立ち上がれ今・振り向かずに〉と表明しているのを受けるのに相応しいハーモニーが生まれる。

 はたして「勇気の花」はラヴ・ソングであろうか。いや、おそらくはラヴ・ソングでもあるだろう。一方で「WE」の主語で括られる詩情には、たとえば「Your side」における「君と俺」に限定された物語とはまた違う親しさ、慈しみ、せつなさの肯定形がシェアされていると確かに実感される。そう、〈そう、君のため・そう、遠くまで・届くように・笑顔(はな)を咲かそう〉すべての伴奏が鳴り止み、透明でいて誠実な響きとして残される決心は、他人に譲るのみでは済まされない。間違いなく、我々一人一人のものである。

 個人的には、リード・トラックにあたる「WHITE」よりも全部の仕様の2曲目に入っている「PERFECT」の方に好意を抱いた。どちらも現代的なジャニーズ・ポップスのアップデートなヴァージョンだといえるけれども、「WHITE」では、パワフルなドラムと(事前の情報ではヌーノ・ベッテンコートが担当していると聞いていた)ハード・ロック調のギターが、本来ならKAT-TUNの持ち味にベストでマッチするはずのそれらが、楽曲のアレンジに対してはマッチしていないせいか、いささか大げさ、そぐわっていないと思われてしまう。比べるに「PERFECT」の勢いづいたBPMが、春の色に合わせたかのような爽やかすら追い抜いていくそのはじけっぷりには、KAT-TUNのキャリアの連続性が紛れもなく汲まれている。

 もっとも、通常盤の3曲目に置かれた「SILENCE」の、ゴージャスなヘヴィ・メタルこそが、おそらくは従来のカラーに一番近しい。だいたい、今どきだよ。〈GOIN' DANGEROUS GOIN' DANGEROUS〉と繰り返してさまになるグループがKAT-TUNの他にどれだけいるっていうんだ。もしかすれば「Going!」よりもゴーインしてらあ、であろう。

・その他KAT-TUNに関する文章
 「CHANGE UR WORLD」について→こちら
 『NO MORE PAIИ』について→こちら
 「Going!」について→こちら
 「Love yourself 〜君が嫌いな君が好き〜」について→こちら
 『Break the Records -by you & for you-』について→こちら
 「RESCUE」について→こちら
 「ONE DROP」について→こちら
 「White X'mas」について→こちら
 『KAT-TUN III - QUEEN OF PIRATES』について→こちら
 「DON’T U EVER STOP」について→こちら
 「LIPS」について→こちら
 「喜びの歌」について→こちら
 『Cartoon KAT-TUN II You』について→こちら
 『Live of KAT-TUN “Real Face”』DVDについて→こちら
 「REAL FACE」について→こちら

 DVD『KAT-TUN LIVE Break the Records』について→こちら
 DVD『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』について→こちら

 コンサート『KAT-TUN LIVE TOUR 2010 PART2:WORLD BIG TOUR』(2010年・東京ドーム)
  7月24日の公演について→こちら
  7月17日の公演について→こちら
 コンサート『KAT-TUN LIVE TOUR 2010 公開リハーサル』(4月28日・さいたまスーパーアリーナ)について→こちら
 コンサート『不滅の10日間ライブ KAT-TUN TOKYO DOME 2009』(09年・東京ドーム)
  6月15日の公演について→こちら
  5月22日の公演について→こちら
  5月18日の公演について→こちら 
 コンサート『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』(08年8月5日・東京ドーム)について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(2011)
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