ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年06月30日
 メディックス

 おお、やはりけっこう覚えているものだな、というのが読み終えて、とりあえず思ったことだ。ファンのあいだでは、長らく単行本化が待たれていた『メディックス』であるけれども、ついについについに、およそ15年の月日を経て、このたびついにその念願が叶えられたのであった。このマンガ『メディックス』は、90年代のはじめに『ビッグコミック・スピリッツ』誌上で不定期に掲載されたシリーズで、おそらく西村の作品のなかでは、ほとんど唯一といってもいい、男の子がメインの物語である。いや、それまでも基本的には青年誌をベースに活動していた西村だが、初期の代表作『サード・ガール』や『美紅・舞子』に顕著なように、そこに描かれる女子の立ち振る舞いがそのまま内容のチャームになっていたのに対して、ここでは明らかに、若い男子を中心に、その動かし方によって、内容のグラデーションがコントロールされている。80年代の短編を集めた『VOICE』単行本のコメントで、その表題作「VOICE」は、女性向け雑誌に掲載されることを念頭に置いたため、ややストーリーが甘くなりすぎたといったふうな旨が述べられているが、それとはちょうど反対に、あくまでも男性読者を意識したうえで、登場人物たちの構図がとられており、こちら読み手の視点は主人公、年上の女性に惹かれる医大生広瀬になるたけ同化することで、ストーリーの進行を追うかたちになっている。そのようなあり方はまた、その後に『ヤングアニマル』にて連載された『SLIP』の序盤でも採用、踏襲されているものである。や、それにしても『ライン』の新刊はどうやら延期ってしまったみたいだが(だよね?)、そのかわり7月には『下山手ドレス(別室)』が出るらしいし、ほんとうに今年は西村しのぶイヤーだあ、とすれば、ほくほくとした気持ちにもなるよ。それを記念してさ、髪を伸ばしたくもなるぐらいだ。

・その他西村しのぶの作品に関する文章
 『アルコール』2巻について→こちら
 『一緒に遭難したいひと』2巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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