ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年06月25日
 東京トイボックス 2 (2)

 2巻で完結になってしまった、うめ(TAKAHIRO OZAWA & ASAKO SEO)の『東京トイボックス』であるけれども、けっして詰まらない内容ではない、いや、おもしろい、すごく楽しんで読んだ、そのことは認めたうえで、しかし僕という読み手は、それでもこのマンガに対し、すこしばかり批判的なことを言いたい立場の人間である。舞台は、今様のゲーム業界にアップデートされているが、アウトラインだけを眺めれば、典型的なサラリーマンものの範疇に止まる。そのため、個人対組織という構図が、作品のうちに、必然的に、組み込まれるかたちになっている。そうした部分における、着地のされ方に、結局のところ、僕は説得されなかった。言い換える。個人が社会との関わりあいにおいて、どこかのポイントで妥協せざるをえない、そのような局面に立たされたとき、ではそこでいったい何を守り、何を放棄するのか、つまり大切なものは何かということが、主人公である太陽の行動からうまく感じとることができなかったのである。そして、それはけっして物語の長さ(短さ)によるものではない、と思う。たとえばクライマックス、商標権をかけた対決の末、太陽は〈エゴがなくてゲームがつくれるか〉〈ワガママだよな〉〈ゲームのことだけ考えて生きるって〉と言う。このような断言は、彼のクリエイターとしての天才的な側面に裏打ちされることによって、説得力を持ちうるものである、が、しかし、それは対決の前に、ライバルにあたる仙水が〈お前はさ パトロン付きの芸術家じゃないんだ〉〈それともいまだに「若き天才クリエイター」気取り?〉という指摘には、反論として成り立っていない。同人でゲームを作っているわけではないからだ。〈品証・プレス・流通・販売店が順々に頭を下げてみんながちょっとずつイヤな思いをするだけだから〉といった仙水の皮肉に対する回答が、〈品証・プレス・流通・販売……みんながちょっとずつイヤな思いをする〉〈でも、それでいいじゃねーか〉であったとしたならば、なぜそれでいいのか、すくなくともそこで、気分や感情に回収されて終わり以上のものが示されなければならなかった。

 1巻についての文章→こちら
posted by もりた | Comment(4) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
この記事へのコメント
初めまして、ブログってけっこう難しいですよね!
気になってコメントつけさせていただきました。
ちょこちょこ拝見させていただきます。
Posted by 弥生 at 2006年06月25日 10:40
ええ、生きるのと同じぐらい難しいですね。すでに404でしたし。
Posted by もりた at 2006年06月25日 16:28
このオチはすごい。切実さが伝わってきます。
Posted by さとう at 2006年06月28日 00:04
何かと思えば、コメント欄のことか!
Posted by もりた at 2006年06月28日 14:34
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