ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年06月24日
 恋愛幸福論

 山口いづみ『恋愛幸福論』には4編の読み切りが収められている。このなかでもっとも古いのは「ハロー★ハロー」(H16年)で、そのポップな線を狙って外してしまっているような絵柄はともかくとして、ストーリーは、それまで友達として過ごしていた男女が、ふとしたことをきっかけに、ふたりのあいだにある恋愛感情に気づく、といった、じつに少女マンガ的なセオリーに則ったものに仕上がっている。というか、このマンガ家の描くものはどれも、表紙に顕著なケバさとは裏腹に、きわめてオーセンティックで純情なラブ・ストーリーだと受けとっていいだろう。「ハロー★ハロー」以外の作品はみな、比較的新しいものだが、そのなかでも個人的に気に入ったのは、「恋愛理想論」(表題作「恋愛幸福論」の姉妹作)である。大家族の長女である佐都は、学校以外にも、幼い弟たちの世話をしたり、バイトをしたりの毎日に、けっこうくたくた気味なのだけれども、中学から付き合っているヨシのやさしさに支えられながら、それでもちゃんとがんばれている。でも、ヨシに頼ることが当たり前になりすぎて、もしかしたら自分が彼を慕い、彼が自分といっしょにいる、それは恋愛とは違うのではないか、と考えはじめてしまうだった。いやいやいや、ヨシ、たしかにいい奴である。ナイス素敵メガネである。まあね、こういう出来た子の前では、〈いつのまにか助けられっぱなしだ〉と卑屈になってしまう気分もわかる。とはいえ、もちろん当然、佐都が駄目な子というわけではない。あくまでもふたりの関係に限定された相対的なバランスからいって〈私はヨシに何もしてあげられてない気がするけど〉と思うだけのことだ。けっして誰も悪くないのに、それでも何かがどうにかしてうまくいかなくなってしまったりもする、恋愛の不思議である。

 『HAPPY DAYS』と『ビターチョコレイト』について→こちら
 『ロマンチストベイビー』について→こちら


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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