ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年06月07日
 RIN 1 (1)

 新井英樹『SUGAR』は、天才であるがゆえに不敵すぎるボクサー石川リンの、猛スピードな成り上がりと、すこしばかりの挫折を描いたマンガであった。そして、この『RIN』は、その続編にあたる。元の掲載誌である『アッパーズ』が休刊になってしまったせいで、場を『ヤングマガジン』に移し(現在は執筆速度に合わせるためだろう『別冊ヤングマガジン』へさらに掲載誌を変更)、仕切り直しが行われたわけだけれども、いやいや、物語を駆動させるテンションは低くなっていない。冒頭から、世界タイトルマッチのリングにあがったリンの、あまりにも挑発的な態度が、世間に動揺を呼び起こす様が、ひとつには、このマンガの読みどころである。主人公であるリンは、同作者の『キーチ!!』と同様、ある種イケイケ型の登場人物だといえるけれども、あちらが支持者を多く獲得するカリスマであったのに対して、こちらは、とかく反発者を増加させる、ヒールというに相応しい、真逆のベクトルを担っている。それはもちろん、両作品におけるアングルさえも異にさせる。この世の9割方を占める凡人は、はたしてほんとうに、圧倒的な才能に共感することができるのか、それを受け入れることが可能なのか。あるいは、拒否するとして、それに抗うだけの正当性や理念を持ちうるのか。要するに、リンという、ひとりの傍若無人な天才は、この世界の強度をはかる、試金石の役割を果たしているのであった。また、そうした見方をすることでようやく、『キーチ!!』とも重なり合う、おそらくは作者の描き込んだ本質が取り出せるようになるのではいか、と思う。

 『キーチ!!』9巻について→こちら
 『キーチ!!』8巻について→こちら
 『キーチ!!』7巻について→こちら


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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