ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年05月27日
 僕等がいた (10)

 あーまあ、そらね、人はつねに強くいられるわけではないからね。それに、不遇の最中にあっては、誰だってきっと、誰かの支えを欲するものであろう。にしても、千見寺の、矢野に対するアプローチは、もうここまでくると思い遣りなのか身勝手なのかわからない次元に達しているなあ、わからないながらも、それで、心の揺らいでしまう矢野の気持ちというのは、わからなくもなかった。小畑友紀『僕等がいた』10巻である。ここで、東京に移り住んでから矢野にいったい何があったのか、その空白のときが、読み手に向けて、開示される。ずるいというか、見せ方の利を述べれば、七美がいっさい、絵のなかに登場してこないことになる。そのため、こちらは、前巻における七美の苦悩をしばし忘れ、矢野の側に共感することが、容易い。いや、しかし、相変わらず矢野はネガティヴさんだなあ、と思う。〈オレは正しく前を向いているか オレの持ってる方位磁石は狂っていないか〉、そんなふうに戸惑う感情こそが、未来のオープンであることを見えなくさせる。まっすぐに歩いているつもりが、どこかで何かを取り違えさせるとしたら、はたして矢野のとる選択は。

 9巻について→こちら
 8巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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