ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年02月03日
 そこへ届くのは僕たちの声

 各地で報告される不可解な誘拐事件、そして植物状態になった人々との交信を果たす謎の人物、いっけん関わりのないふたつの事象を繋げる、「ハヤブサ」というキーワード。それらすべてが、遠い宇宙を覗く天文台で、ひとつに結ばれる。渦中にあった「僕たち」は、やがて、絶対に忘れられない体験をすることとなるのだった。小路幸也の小説を読み終えると、いつも、なにか、食い足りない感じを覚える。それは伊坂幸太郎や本多孝好の読後感に近しいが、彼らよりも、一回りほど大きい食い足りなさのような気がする。なんなんだろう、と考えると、結局のところ、物語の強度なんじゃないかな、と気づくのだ。が、しかし、これはけっこう満足がいった。デビュー作と通じるところのあるファンタジックなミステリーで、前半のゆったりとしたテンポを挽回するように後半で駆け足になってしまうあたりは、前作『Q.O.L.』にもあった瑕疵なのだけれど、これまでと比べると、ずいぶんと着地点がしっかりしている。そのため、クライマックスのところで、ぐっときた心証のまま、最後まで読み進めることができた。ああ、って思って、もう一度、冒頭を読み返してしまった。ただ、この作品では、震災やテロが、ある種の負を代替する磁場として存在しているのだが、それをもうちょっと人間の業と接続できれば、もっとずっと深い余韻が生まれたのでは、と思ったりもした。すこし綺麗事で収まりすぎる嫌いがあるのだ。けど、いやいや、この人は、だんだん良くなっている。たぶん、これ、今までのなかでいちばんいいんじゃないかな。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
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