ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年05月17日
 Kamikaze Love Reducer

 90年代後半を中心に、北欧から登場したロックン・ロール系バンドの多くは、どうもTHE HELLACOPTERSを筆頭に、そのサウンドを黄昏らせていくのが最近の傾向であるようだが、このPSCHOPUNCHの場合も、通算5作目(半ライヴ音源を収めた『ORIGINAL SCANDINAVIAN SUPERDUDES』をカウントに含めれば6作目)になるアルバム『KAMIKAZE LOVE REDUCER』では、たしかにそれっぽい感じに音を変化させているけれども、いや、しかし、メロウ成分の取り込み方が他のアーティストとは微妙に異なるため、いち個性として転がすことに成功している、いやいや、これはちょっとよろしいです、かっこういいですよ、と満を持して口にできる印象だ。とはいえ、冒頭「POISON ALLEY GROOVE」からMOTORHEAD型の、猛テンション、高スピードで、キャッチーさを回転させるところは、相変わらず、このバンドの本質が、あくまでもダーティーなやかましさにあることを主張している。はげしい疾走とともに、アドレナリンが騒ぎ、カロリーが、うるさく、燃える。いま現在の、BACKYARD BABIESの方向性に満足のいかない向きが求めているのは、じつはこういう轟のエネルギーなのではないかな、と思う。新機軸は5曲目、スロー・バラード調のナンバー「WHEN THIS WORLD IS DYING」であろう。あからさまにボブ・ディランのというか、おそらくはガンズ・ヴァージョンの「KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR」を下敷きにしながら、ブルーな気持ちに赤い情景の映える、そういうフィーリングを組み立てている。初期THE ALMIGHTYにも通じる、男の哀愁美を奏でているのであった。その曲にとくに象徴的であるが、全編を通し、ブリリアントなのは、リード・ギターの弾く、泣きに近しいフレーズがどれも、つよいフックとして機能していることだ。99年のファースト『WE ARE JUST AS WELCOME AS HOLY WATER IN SATAN'S DRINK』、00年のセカンド『BURSTING OUT OF CHUCKY'S TOWN』においては、THE WILDHEARTSを彷彿とさせる、リフとメロディのはじけ方が見られたけれども、それらは、02年の『THE PLEASURE KILL』以降、ちょっとばかし身を潜め、ZEKEなどに顕著な、猪突猛進の力押しに勢いを頼らせていたところがある。それはそれで悪くはなかった。が、しかし、類型のそしりを免れない、匿名的なスタイルの踏襲に陥りそうな危うさもあった。それが、ここでは、先ほどもいったが、リード・ギターのすばらしく、目覚ましい活躍によって、他に類を見ない、固有性を回復させるに至っている。一言でいうと、突き抜けた。THE WILDHEARTSの「GEORDIE IN WONDERLAND」あたりを思わせる、トラッド・フォークをハード・ロックの音圧でアレンジしたかのような10曲目「THE BLACK RIVER SONG」など、楽曲のヴァラエティも、かなり柔軟に富んでいる。ここにきて、最高傑作であるのは間違いないし、そして、たしょう大袈裟かもしれないが、燃え要素の満載ぶりは、スウェディッシュ・ロックン・ロールのニュー・マスター・ピースに値する、それほどまでに充実した内容といってしまっても差し支えがないだろ、これは。

 『SMASHED ON ARRIVAL』について→こちら

 バンドのオフィシャル・サイト→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(06年)
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