ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年05月06日
 City By the Light Divided

 ああ君に、劇的な雨の、降る。THURSDAY、渾身のニュー・アルバム『A CITY BY THE LIGHT DIVIDED』は、バンド史上、もっともドラマティックな作品であるといえるだろう。ウェットにしんみりと拡がる情緒よりもはやい速度で、ソリッドかつダイナミックな叙情がはげしく打ちつけられる。03年の前作『WAR ALL THE TIME』からの流れでいえば、同型のつくりでありながらも、印象は、また一段階進んだ、より深まった、といったところである。ふつう4作目となれば、大幅な路線変更がなければ、その音の鳴り方のうちに、ある程度の惰性が見え隠れしてもよさそうなものだが、しかし、それが、ここには、いっさいない。むしろ、99年のデビュー作『WAITING』のころから、サウンドの原形を為しているような、息継ぎなしでアップとダウンを切りかえる、そういう性急さは、研磨され、シャープさが、引き出され、際立ち、より高次な説得力を持つにいたっている。1枚のアルバムのなかに、いくつものハイライトが生じているけれども、個人的には、01年のセカンド『FULL COLLAPSE』収録のベスト・トラック、「AUTOBIOGRAPHY OF A NATION」のニュー・ヴァージョンとでもいうべき、「AT THE VELOCITY」が最高潮に、燃える。疾走をもって表現の核を為すナンバーではなくて、攻撃的なリフやリズムのアタック、喉をふるわす絶唱により、ラウドに高められたうねりと、悲哀に満ちたメロウな旋律が、ひとつの流れのなかで、仲違いをせず、急進的だと感じられるほどの、するどい展開を切り開く。これなんだよなあ、THURSDAYの良さは、と感極まるぐらいの瞬間を、見事に体現している。プロデュースを担当しているのは、THE FLAMING LIPSなどとの仕事で知られ、いわゆるポスト・ロックまたは音響系を手がけることの多いデイヴ・フリッドマン(MERCURY REV)であるけれども、彼の、繊細さを積み重ね、奥行きを出してゆくセンスが、ここでは、音そのものの厚みへと直結し、シンフォニックともとれる、重層的で幻想的な情景を導き出している。かくして感動的なフィナーレは、やはり、バラード・タイプのラスト「AUTUMN LEAVES REVISITED」によって迎え入れられるであろう。シンプルで、せつなげなフレーズを爪弾くギターと、静謐に、はかなく消え入りそうなメロディの終わりに、ひとしきり、うるさく降り注いだ雨の止む、そういうシーンをイメージする。

 バンドのオフィシャル・サイト→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(06年)
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