ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年12月21日
 L DK(5) (講談社コミックスフレンド B)

 人気が出、連載が長引けば、噛ませ犬的な恋敵が投入されるのは、まあ、こうしたラヴ・ストーリーのパターンにすぎないのだけれど、それでも今後の展開が気になって仕方がなくなってしまうので、弱るよ。少女マンガのワナに違いねえや、だろう。サドっ気抜群のイケメンさんと同居生活を送るうち、最初は好かなかった彼に惹かれはじめ、次第に気持ちを隠せなくなるヒロインというのも、類型的なパターンでしかないし、この狭い人間関係にどうドラマを起こすか、凝らされてきたアイディアも、やはり類型を逸していないのだったが、それに文句をつけるのは野暮、と感じさせてくれるだけの魅力が渡辺あゆの『L・DK』にはある。そして5巻では、すでに述べたとおりの局面、主人公の西森葵をめぐって久我山柊聖と対立するライヴァルが登場する。同じ高校の先輩、三条亘がアパートの隣の部屋に引っ越してき、葵と柊聖が一緒に暮らしていることを知っていながら、果敢にアプローチしてくるのだ。亘が決して嫌味な人物ではない、むしろナイスな若者である点は、物語のなかの機能として大きい。彼の干渉によって、葵と柊聖各々の恋愛観が試される、という構図が生まれている。もちろん、以前のエピソードでも柊聖の後輩や柊聖の兄が同様の役割を果たそうとはしていた。しかし亘の場合は、まったくの第三者であるがため、それらとは別種のスリルを駆け引き上に顕在させている。なおかつ注意されたいのは、さしあたり現時点ではの話に留めるが、亘のアタックにもかかわらず、心理や表情の描写において、葵の動揺が目移りからやって来ているのではない、というイメージを強めていることである。彼女の困り顔は、あくまでも柊聖の反応を原因にしており、一途さをピュアだとすれば、不純には見られないような工夫がなされている。迂闊な性格はそもそも褒められたりしないものの、印象を悪くしていない。また亘がいくらがんばってみせても噛ませ犬に思われてしまうのもそのせいだろう。読み手としては、おまえがナイスな奴なのはちゃんとわかってるぜ、と言葉をかけるよりほかない。

 4巻について→こちら
 2巻について→こちら
 1巻について→こちら 

・その他渡辺あゆに関する文章
 『オトメゴコロ』
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら
 『キミがスキ』
  2巻について→こちら
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