ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年11月28日
 CHANGE UR WORLD(初回限定盤1)(DVD付) CHANGE UR WORLD(初回限定盤2) CHANGE UR WORLD

 ああ、やはりKAT-TUNを補えるのはKAT-TUNだけなのであって、何人たりとも彼らの替わりにはなれやしねえんだ。性急でいてパワフルなビートがそうさせるのか、あるいはヘヴィ・メタリックなアプローチがこのグループに最も似つかわしいからか、通算13枚目となるシングル「CHANGE UR WORLD」は、前シングル「Going!」に漂っていた躊躇いを見事に吹っ切っている。正しく会心の一撃であろう。

 今を生きろ、と言うのは容易い。だが、今を生きる、これを繰り返し続けるのはとても難しい。しかし、結局のところ孤独な自分の運命は自分にしか変えられないのだし、それは常に、今をいかに生きられるか、にかかっている。激しいハード・ロックを盾に〈テキトーな嘘でバックれて / ありえねーウソ並べたって / 世界 / 変えられやしない…〉ので〈ギリギリでいつも生きていたいから〉と歌い、デビューしたKAT-TUNが、そこからさらにアップデートされたマシンで高速域を駆け抜けるかのように〈U CAN CHANGE UR WORLD 煌めきを / もう逃さないよ / COME WITH ME この世界を / 変えてみようか / 今 / 手を / 空へ / 足跡は刻まれる / 全ては / この手の中〉と今もなお歌い続けるさまには、決して目減りしないエネルギーが宿されていると思う。

 とにかく強烈なのはバックのトラックである。だいたいこの、スピード・メタルを参照しているんだかハードコア・テクノを参照しているんだかよくわからないまま、ただただアッパーに刻まれていくリズムは一体何なのだ。ヘッド・バンギング調のギターやトランシーなシンセサイザーの響きと相まって、必ずしも趣味が良いとは言い難い。にもかかわらず、本来なら下世話でいて破廉恥なはずのそれが、伸びやかなヴォーカルのメロディと化学反応を起こしながら、絡み合い、愚直さを踏み越えるほどにポジティヴで力強いセンセーションを実現しているのだから、恐れ入る。

 そして、バックのトラックに負けじと息巻く田中くん(JOKER)のラップ・パートだ。これがある意味では「CHANGE UR WORLD」最大の決め手だろう。かねてよりKAT-TUNのアンセムに欠かすことのできなかったそれであるが、ここでは曲中のブレイクを果たすのみではなく、さらに扇情的なフックとなりえている。ヴォーカルの面において、現在の5人編成は、いくら各々のふんばりを認めようとも、オリジナルのラインナップと比べたとき、少々出力に不足があるのを隠せない。仕方がないのである。しかし、田中くんのアジテーションがそれを肩代わりした、というのでは語弊があるので、なるたけ正確を期したいのだけれども、低い声でドスを利かせたラップが、全体のなかで大きなアクセントとなり、ヴォーカル・パートにもうちょっと厚みが欲しいところを、ひっくり返し、清々しくもフレッシュな印象に変えているのだった。

 いずれにせよ〈低脳 / 手と手を合わせPRAYしろ〉という攻撃的なフレーズが音楽番組などで堂々炸裂していたのは痛快であったし、〈FLY HIGH SOLDIERS / (WOW)WE'RE SOLDIERS / (WOW)LIKE A SOLDIER / (GO HOME)お帰んなさい / (欲の)亡者 / (ただの)傍若無人なGAME〉と韻を並べたクライマックスの男伊達ときたら。爽やかさのなかに無骨な態度を覗かせる。

 田中くんのラップ終わり、激しさが一旦止む。しかしてそれをバネに再度の盛り上がりが生じていくのだったが、ここだ。ここで上田くん、田口くん、田中くん、中丸くん、亀梨くんと、次々にスポットライトが移っていく展開は、KAT-TUNという個性の内訳を明確に教えてくれる。とくに〈今 / 手を / 空へ / 限界を超えてゆく〉と中丸くんがキーをハイに入れるのを受けて〈CHANGE UR WORLD〉と亀梨くんがシャウトするその声は、か細さのなかに目いっぱいのエモーションを張り詰めさせていて、取り返しのつかないことを取り戻そうとするのがたとえ無駄だとしてもそうせずにはいらない、抑えきれないぐらいの切実さをこちらの胸に突き立てる。うまいへたとはべつのレベルで、きりりと引き締められるものがある。

 かように「CHANGE UR WORLD」は豊富なトピックを持っているのだけれど、いやいやカップリングに収められた他のナンバーにしたって、どれもがタイトル・トラックに劣らないほどのインパクトを有しているのが、まあ一言で言えば、やったね、なのである。初回限定盤2の2曲目、田中くんのラップで幕を開ける「REMEMBER」は、アレンジのみならず歌詞も含めて、80年代のスタジアム・ロックを彷彿とさせる。時代錯誤だと思うかい。おそらくそうではないだろう。そうではなくて、海外の若いハード・ロック・バンドにも同様の傾向がうかがえる00年代以降の流れをきっちり受け止めているのだと考えられたい。そしてそれが、こうもジャストに決まっているアイドルがKAT-TUN以外のどこにいるっていうんだ。

 同じく3曲目の「ニートまん」は、上田くんのソロ・ナンバーで、すでにMOUSE PEACE名義のコンサートで披露されていた。ヴィジュアル系にも似たソリッドさとアニメ・ソングみたいなハイ・テンションを併せ持ちながら、(・∀・)こうしたAAを多用し、働きたくないよ、と夢想をオープンにしているのが、ひじょうにキュートであるし、痛快だ。作曲に、声優関連の楽曲でも仕事をしている黒須克彦が関わっていることから示唆的なとおり、間違いなく意識的にインターネットやオタクの文化圏へアクセスを試みている。

 NTT presented by Junnosuke Taguchiとクレジットされた4曲目の「GIRLS」は今回、裏のハイライトと呼ぶに相応しい。NTTとはずばり、中丸くん、田中くん、田口くんの3人の頭文字をとったユニットである。田口くんが指揮をとり、ダンサブルでエレクトリックな高揚感にラップをメインで搭載し、ぶっちぎりのパーティ・チューンが繰り広げられるのだったが、これがもう、田中くんと中丸くんのヒップホップ・サイドにおけるスキルを存分に味わえるのがたまらなく。田中くんが〈振り回せ (Boom!Boom!) ここバビロンcity / Raga song 踊らにゃ損 / 踊るAho! に見るAho! 踊れAho!〉とけたたましいフローを効かせれば、中丸くんは〈HBB Look at Me! Me!/ かなりHigh俺らNTT / やれるもんならPull upさせてみな〉といった具合に血気の盛んなヒューマン・ビートボックスを聴かせる。どちらにもKAT-TUN本体ではなかなか顕在化しないスリルが満ち溢れているのが嬉しい。無論、それらの特性を自分のフィールドに持ってき、すばらしくまとめ上げた田口くんの辣腕を忘れてはならない。三者三様、スタイルもアピールも異なった3人によって織り成されるコントラストは、確実に体温をアップさせる。まるで腕を掴まえられて、引っ張られ、次のとおり誘われている。〈俺らのPaceに / 置いてけぼり?/ って下らんノリって気付きなさいな / もう懲り懲りって言い訳並べず / 心の檻ってぶち壊すもんじゃありませんか?〉

 以上のフレーズは田中くんによるものだが、「CHANGE UR WORLD」はもとより、「GIRLS」ばかりではなく、他のナンバーも含め、そのラップが以前にも増してヴァリエーション豊かとなっている点に、KAT-TUNの現在と今後が占われている気がしないでもない。少なくともそれは「Love yourself〜君が嫌いな君が好き〜」後の混乱を経て訪れた「Going!」から「CHANGE UR WORLD」への変化と符合しているのである。

 たとえば、通常盤の2曲目にあたる「GIVE ME, GIVE ME, GIVE ME」でも田中くんのラップは、グループ自体の足どりと同時進行上に新たな存在感を得ている。「Love yourself〜君が嫌いな君が好き〜」以降、特徴的となっていたオートチューン・ポップスの路線は「GIVE ME, GIVE ME, GIVE ME」に受け継がれた。JUJUや加藤ミリヤ、西野カナなどのプロデュースで知られるジェフ・ミヤハラが作曲を担当しているのだけれども、メロウに濡れそぼったフィーリングは、なるほど、それらのアーティストから連想されるものと大きくかけ離れてはいまい。一方で、しっとりとしたスロー・ナンバーであるにもかかわらず、ギターのリフがぎゃんぎゃん鳴り、重量級のリズムがずしんと響く、こうしたアレンジに対し、さも当然のごとく、せつなかっこういいモードを全開にしているのが、とてもKAT-TUNらしいし、またここではZEEBRAばりの凄みではなく、KREVA寄りの柔らかさで、悲しみと優しさの中間点を手探り、綴っていく田中くんのライムが、タイトルどおりに〈GIVE ME GIVE ME GIVE ME GIVE ME ONE MORE CHANCE〉と重ねされていくコーラスをさらに印象深くしている。

 ところで田中くんの話を続けたいのだったが、通常盤3曲目の「NEVER×OVER〜「-」IS YOUR PART〜」において、従来のJOKERではなしに田中聖の名義で作詞にクレジットされているのは、楽曲の特性を考える上で意外と重要に思われる。メンバーの紹介をリレーするという、まあSMAPでいえば「Five True Love 」や「FIVE RESPECT」に近しい位置づけのナンバーである。その制作に、JOKERと田中聖のパーソナリティを使い分ける彼が、あくまでも後者を選び、関与しているのは、KAT-TUNのTであることの明確な意思表明にほかならない。各々のソロ・ナンバーをリミックスし、高速のビートで繋ぎ、メドレー化したバックのトラックは、ひじょうに効果的でいて、中丸くんから亀梨くん、亀梨くんから田口くん、田口くんから田中くん、田中くんから上田くん、上田くんから中丸くんへ、手渡されたバトンをマイクに変え、KAT-TUNのイニシャルを循環するヴォーカルには、紛れもなくこのグループの現在が印されている。

 そう、そして未来はまだわからない。〈READY「K」 CARRY「A」 FOLLOW「T」 MORE「T」 WOW WOW CALLING「U」 HURRY「N」 WOW WOW〉と繰り返しながら歌われるなか、しかし運命は常に開かれていることが〈FOREVER... WE NEVER GIVE UP THE DREAM 「FOREVER... WE NEVER GET AWAY」〉というメッセージに、そのために今を生きなければならないことが〈WE NEVER OVER「OVER」 WE NEVER EVER CHANGE「WOW YEAH」〉というメッセージになり、託されているのだと信じられる。

・その他KAT-TUNに関する文章
 『NO MORE PAIИ』について→こちら
 「Going!」について→こちら
 「Love yourself 〜君が嫌いな君が好き〜」について→こちら
 『Break the Records -by you & for you-』について→こちら
 「RESCUE」について→こちら
 「ONE DROP」について→こちら
 「White X'mas」について→こちら
 『KAT-TUN III - QUEEN OF PIRATES』について→こちら
 「DON’T U EVER STOP」について→こちら
 「LIPS」について→こちら
 「喜びの歌」について→こちら
 『Cartoon KAT-TUN II You』について→こちら
 『Live of KAT-TUN “Real Face”』DVDについて→こちら
 「REAL FACE」について→こちら

 DVD『KAT-TUN LIVE Break the Records』について→こちら
 DVD『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』について→こちら

 コンサート『KAT-TUN LIVE TOUR 2010 PART2:WORLD BIG TOUR』(2010年・東京ドーム)
  7月24日の公演について→こちら
  7月17日の公演について→こちら
 コンサート『KAT-TUN LIVE TOUR 2010 公開リハーサル』(4月28日・さいたまスーパーアリーナ)について→こちら
 コンサート『不滅の10日間ライブ KAT-TUN TOKYO DOME 2009』(09年・東京ドーム)
  6月15日の公演について→こちら
  5月22日の公演について→こちら
  5月18日の公演について→こちら 
 コンサート『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』(08年8月5日・東京ドーム)について→こちら
posted by もりた | Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽(2010年)
この記事へのコメント
初めてこのサイトを知りました。
kat-tunのファンです。
5人になったkat-tunをここまで冷静に評価しておられる方の存在を知ることが出来てとても嬉しいです。

何かと叩かれることが多いので、ファンもしんどい。

基本ジャニーズ異端児なので、なかなか理解してもらえないのです。

でも、私もこのリリースで少し安心したところでしたので、貴殿のご意見を読んで一段とファン続けていく自信がもてました。
ありがとうございます。

又こちらで今までの記事も拝読させていただきます。

Posted by arigatou at 2010年12月02日 18:00
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