ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年04月20日
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 いや、こいつはブリリアントだ。高橋葉介のライフワーク的マンガ『夢幻紳士』の新刊「逢魔篇」である。前節「幻想篇」を、夢幻魔実也というキャラクターにガイドされた、ひとつの幻であったとするならば、「逢魔篇」にて案内されるのは、ひとつの夢のなかだといえなくもないけれど、しかし、それらは、別個の、異なった空間として披露されているわけではなくて、読み手の経験を通じ、ひとつの、無限に拡がる世界へと繋がっている。「メタ」などといった理論の言葉では、限定することのできない、夢幻のごとき、めくるめく物語が繰り広げられているのである。基本的なつくりは、とある場末の料亭に立ち寄った青年、夢幻魔実也のもとに、入れ替わり妖怪変化の類が訪れては退治されるといった、オムニバス形式となっており、時系列でいえば「幻想篇」の直後、つまり、その最後のコマが、ここでは、いちばん最初のコマになっているのだが、ひとコマひとコマの展開は、やがて時間軸さえも超越した、驚きのパースペクティヴへと到達する。もちろんのように、そうした仕掛けの施された体裁こそが、最大の読みどころ、醍醐味ではある。一方で、全体のクライマックスにおける、「手の目」の少女の、そこはかとなく切なげな表情に、読み手である僕はといえば、思わず、もらい泣きしそうになってしまうのであった。そうして、ワンダーとエモーションが、分かちがたいほどに、すばらしく同居することで成り立った、うつくしい像に、ふかい眩暈を覚えるわけで、繰り返し読めば、感動は掘り下げられ、そのたび、新鮮な風に、あてられる。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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