ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年04月17日
 中原中也との愛―ゆきてかへらぬ

 このたび文庫化されたので、はじめて読んだ。『中原中也との愛 ゆきてかへらぬ』は、昭和49年頃に村上護が、長谷川泰子に対して行ったインタビューをまとめたものである。長谷川泰子といえば、若き日の中原中也と小林秀雄の関係を語るさいに、けっして省くことのできない女性で、たとえば大岡昇平『中原中也』にその存在は詳しいけれども、僕個人としては、どうも江藤淳が『小林秀雄』で〈それは人間の存在の奥底にほそむ暗い血のすすり合いであった〉という具合に論じていた小林への影響を強く意識してしまうため、どうもネガティヴな面影をイメージしてしまうところがあったのだが、しかし、ここで長谷川の語る、彼女と中原そして小林の三角関係は、たしかに長谷川の精神を病むほどの潔癖性など、その気質には難があり、ある種の悲劇性を小林や中原に与えていたとしても、けっして暗雲に包まれるばかりの状態ではなかった。村上は、全体のバランスをとろうとしてか、ところどころに他の文献を引用したりしているが、長谷川は、中原との出会いから、小林との出会いと別れを経て、中原との別れ(中原の死)までを、わりとオープンに回想しており、あくまでも長谷川の主観的な視点に基づいているせいで、駄目さ加減も含めた、中原や小林の人間としての生々しさの面が、けっこう強調されるかっこうになっている。が、しかし、それでいっそう顕著になるのは、中原や小林の良し悪しの両面を抱えたうえでの魅力であり、それを浮き上がらせているものとは、形はどうであれ、やはり、愛の一端なんだろうな、と読み終えて思う。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(06年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック