
圧(あつ)い。そのたったの一言が、じつに相応しい気がした。圧いのである。押され。潰され。散る。死ね。『THE ULTIMATE DESTROYER』というタイトルは伊達じゃないだろ。ああ、LAIR OF THE MINOTAURのセカンド・アルバムは、前作『CANAGE』を上回る、超硬の破壊力を持った作品となっているのであった。ドゥームやらスラッシュやらモダン・ヘヴィネスやら、とにかく、あらゆる種のヘヴィ・メタリックなイディオムを駆使することで、濃密な重低音を作り上げてゆくギターのリフは、幾重にも重ねられ、はげしくうるさい濁流をつくる。1曲目の「JUGGERNAUT OF METAL」からして、バンドの本領が、ばりばりと発揮されており、そのすばらしいカタルシスの有り様は、こちら聴き手の自意識を剥ぎ取り、すっかりと役立たずなものにしてしまう。ベースに耳を傾けてみれば、その図太いうねりに、どん、っと胸のあたりに大きな風穴が空いたかのような錯覚を覚え、空洞の、底のほうからは、あたかも地獄へと続いているかのような、唸りが上がり続けている。ここでは、PELICANのメンバーでもあるドラムのアタックは、けっして派手で目立つといったものではないけれども、いやいや、しかしポイントポイントを押さえ、じつにびしばしっと決まっている。わりと頻繁に楽曲のテンポが変わる8曲目「ENGORGED WITH UNBORN GORE」での、ジャストなリズムさばきに、一線級のプレイヤビリティを思い知らされた。サウンドは、以前ほどアンダーグラウンドな趣きではなくて、けっこうクリアに響くようになったが、しかし、柔くなった印象はゼロで、むしろどろーんとした感覚の抜けたぶん、ソリッドになり、強靱さが際立つかっこうになった。たとえば、最近のMASTODONやHIGH ON FIREに類する、燃えの要素が高まっている。ぎゃふんと言わされるほどに、圧い、圧い、とにかく圧い。
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