ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年04月05日
 『en-taxi』13号(06年春号)掲載の短編。『文藝』出身者が、『en-taxi』で作品を発表するという経緯は、なんだか鹿島田真希の場合を思い起こさせるな、とすれば、そのうち三島賞候補にもなりますかね、とひとりごちてみたりもして、さっそく読みはじめた『私の娘』は、これまでに生田紗代が書いてきた小説とはやや趣きを違えるつくりであるが、しかし、主題に近しい部分においては、以前のものにも見受けられた、女性性の不便さあるいは個人としての独立に基づく、母子間の対立といったモチーフを扱っているような、そういう感じだ。未だ生まれてはいないが、しかし、やがて生まれてくるのだろう自分の娘を見つめる〈私〉の、その、〈私〉の母親の視線を意識したうえでの語りによって、小説それ自体は成り立っている。〈まだ性行為を知らない私がいずれこの世に産み落とす〉と、ひとつのエクスキューズが入っているように、あくまでも実存しえないものが、〈私〉の、実存に向けられる態度へと関与しているところが、おそらくはポイントであろう。ここで〈あなたは生まれたときからプログラムされた行動を実行したにすぎない〉といわれているところの〈あなた〉とは、〈私〉の娘のことであると同時に〈私〉の母親のことであり、そして〈私〉自身のことに他ならず、それは〈一つの凡庸な意志の形〉として、〈私〉たちの眼前には、あたかも忌むべきものであるかのように、現れているのだった。

・その他生田紗代に関する文章
 「雲をつくる」について→こちら
 「なすがままに」について→こちら
 「まぼろし」について→こちら
 「タイムカプセル」について→こちら
 「十八階ヴィジョン」について→こちら
 「ぬかるみに注意」について→こちら
posted by もりた | Comment(2) | TrackBack(0) | 読書(06年)
この記事へのコメント
生田紗代さんについて書かれている時は
何故かとても気になって書き込みしたく
なっちゃいます。
生田さん、いろんな文芸誌で書かれていますね。
「文藝」でも書いてくれないかな〜。
「文藝夏号」では鹿島田さんの作品が
掲載されるみたいで楽しみです。
Posted by 誠 at 2006年04月05日 23:58
誠さん、どうもです。
たしかにいろんな文芸誌で書かれてますね。
あと書評とかもけっこうやってる。
そういった部分も含め、ディシプリンを積んでゆくことで、その才能を伸ばすタイプの作家なんだと思います、生田紗代は。
Posted by もりた at 2006年04月06日 10:14
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