ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年08月21日
 ここ最近、ヤンキー・マンガと呼ばれるような作品はさすがに増えすぎなのであって、正直、手に余りつつあるのだったが、携帯電話向けに配信されたコンテンツをコンビニ版の単行本にまとめた『ヤングキングα』の「新不良聖書」などはまさしくその飽和点とすべき佇まい、このなかからジャンルの新機軸やビッグ・ヒットが生まれるとは到底思えないのだけれども、まあ商売として成功すればいいですね、といったところである。

 さてその「新不良聖書」に収められているのが、俳優の宇梶剛士が原作をつとめ、『タイガーズ』の白鳥貴久が作画を担当した『COOL TEAM』で、1話から9話までが読めるのだが、評価を厳しくすれば、類型的な描写や展開が多く、さほどのトピックを含んではいない。

 内容は、二千人のメンバーで構成されるチーム「ゼブラ」の頭(ヘッド)、立花了を主人公にし、暴力で回るような青春を、ギャグとシリアスの相半ばするテンションのなかに描く、といったものである。了に関しては〈後にこの少年は役者になるがそれはまた別の話である!〉と、作中で解説されているとおり、おそらくは宇梶自身をモデルにしている部分もあるのだろう。たしかに、ケンカは強く、人望も厚いが、色恋にはからっきしな彼の性格は、前時代的な、軟派になりたいのになれない硬派のイメージを、それが長所でもあるふうに再現している。しかし、一部のファッションや登場してくる女性の人物は今日的にデザインされており、自伝の要素や深い時代考証を読む必要はなくて、たんにバッド・ボーイのロマンをなぞらえているにとどまる。

 了とはまったく違い、セックスに屈託のない「ゼブラ」のナンバー2、乾鷹志が良い味を出している。彼と主人公の、バディものであるような側面もまた、この手の作品におけるセオリーといえるものの、いやじっさい、物語にとってももっともユーモラスで人間味を感じさせるのは、不良少年の誠実さを(わざわざ)説こうとする点より何より、そこなのだったが、本筋は、ナンバー3の海江田が暗躍し、構成員二千人の説得力のないまま、巨大なチームの権力闘争に発展していきそうな気配を孕む。
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