ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年04月01日
 女たちは二度遊ぶ

 しかし男の若い頃というのは、どうして、ああもショボいのだろうか。往々にして、思慮を欠き、尊大で、がさつ、その短絡さをもって真っ直ぐなどといえば聞こえはいいけれども、じっさいのところ、純粋とはいえないぐらいに、狡さを覚えてしまっている。女の子たちときたら、よくもそんな生き物と付き合うよ。とはいえ、ある年齢から振り返ってみると、そのような愚かさこそが、もしかすると青春というに相応しいものなのかな、と思う。『女たちは二度遊ぶ』は、吉田修一の、その技量を、的確に11等分してみせた、短い小説の並ぶ作品集であり、そのほとんどが、若い男女間における、ささやかな混乱を取り扱っている、といえる。どれも小品であり、簡素なつくりであるけれども、際立つ情緒は、なかなかに、きめ細やかだ。たぶん「十一人目の女」が、叙述の形式として、もっとも工夫の凝らされているふうな内容であるが、個人的には、フリーター文学あるいはルームシェア小説のヴァリエーションであるかのような、冒頭「どしゃぶりの女」と、『パークライフ』に近しい雰囲気を持ち、淡々とした叙情で綴られる、ラスト「ゴシップ雑誌を読む女」が、とくによかった。いや「殺したい女」も「平日公休の女」も「泣かない女」もよかっただろ、といえば、記憶のなかで美化されつつあった、あの人が立ち去ってゆくときの情景と、そこにあったはずの惨めさや後ろめたさを、ほんのすこしばかり思い出す。

・その他吉田修一の作品に関する文章
 『ひなた』について→こちら
 『7月24日通り』については→こちら
 『春、バーニーズで』については→こちら
 『ランドマーク』については→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(06年)
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