ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年07月22日
 ドリームキングR 6 (ヤングキングコミックス)

 おまえ、この前と言っていることがぜんぜん違げえじゃん、と思われるかもしれないのを承知のうえで書くのだったが、やっぱり柳内大樹のマンガが好きである。とくにこういうものを持ってこられるとそれを実感する。『ドリームキングR』が、ついに完結した。エンディングへ向かい、6巻で繰り広げられるじつにまっすぐなサクセス・ストーリーは、もしかしたら俵家宗弖一の原作に負うところが大きいのかもしれないが、しかし柳内ならではのテンションが生き生き、作中人物のほとんど根拠のない自信をいっそ清々しくし、細かい点にこだわるのは野暮だいね、と、たいへん痛快な気分を味わわせてくれる。まずだいいち話運びのテンポが良い。近年の作品を目にするかぎり、どうやら作者は主人公を、わざわざ、苦悩させるのが高尚な表現だと信じているふしがあって、いやまあ、それはそれでべつに構わないのだけれども、頭を抱えている主人公を物語のなかでどう動かすかの原理が、ものの見事に破綻しきっているばかりか、そもそも彼の基礎であるような資質をもご破算にしてしまうため、いったいその言動のどこから説得力を得ればいいのか、むしろこちらが頭を抱えたくなるのもしばしばであった。要するに、『ドリームキングR』のクライマックスは、そうした躓きを免れている。何せ、オザキック改めオズマックスやJとともに「ゼロル」のセカンド・ブランド「ゼロリズム」を立ち上げたジョニーの、行く手を阻む困難にもまったくめげず、やがてSHIBUYAで名をなしていくまでの様子に、プロットは一本化されていて、展開に迷いがない。アパレルのトップ・デザイナーになるにはなぜか血みどろの抗争劇を繰り広げなければならない、という意味不明瞭なぶれもようやく除けられている。Jやカエデ、オザマックスたちとジョニーの関わり合いにしたって、個々のエピソードを通じ、簡潔ながら十分な深さを与えられているように思う。作中人物の葛藤をことごとくセリフで説明してしまう、抽象性を誤解した、いつもの悪癖が押さえられていて、コマの単位で魅力的な場面が多い。終盤、巨大チェーンである「ウォーライウェア」のバイヤーに〈ジョニーさん アンタにとって…『洋服』とは何か〉と尋ねられ、主人公が自問自答する数ページは、その答えがどうというより、その答えを覗かせる無口な間のなかに、ひさびさこのマンガ家の真価を見た気がした。

 5巻について→こちら
 4巻について→こちら 
 3巻について→こちら
 1巻について→こちら
 『ドリームキング』
  3巻について→こちら
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら

・その他柳内大樹に関する文章
 『新説!さかもっちゃん』1巻について→こちら
 『ギャングキング』
  19巻について→こちら
  18巻について→こちら
  16巻について→こちら
  15巻について→こちら
  14巻について→こちら
  13巻について→こちら
  12巻について→こちら
  10巻について→こちら
  9巻について→こちら
  8巻について→こちら
  7巻について→こちら
  6巻について→こちら
  4巻について→こちら
  3巻について→こちら
 『スマイル』(永田晃一との合作)について→こちら
 『柳内大樹短編集 柳内大樹』について→こちら
  「バンカラボーイズ」について→こちら
  「オヤジガリガリ」について→こちら
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