ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年07月17日
 100716_1741~0001.jpg

 だめだよ。ありえない、といういことが、ない。馬である。馬である。何はともあれ馬なのであって、もう最高潮に馬なのだったが、ふつうあれは思いついてもやらない、しかしそれをやるからたまらないのだし、そこが好きだよ、と痛感させられる。いやおまえは何を言っているんだ、てな話なのだけれども、要するに、だ。昨日(7月16日)は東京ドームで開催された「KAT-TUN LIVE TOUR 2010 PART2:WORLD BIG TOUR」を観に行ってきたのだった。

 そしてその、ハイライトとすべき一つがアンコールに出てくる馬で、少しでも間違えればギャグでしかないような演出なのだが、グループのカラーからしたらまったく外していないところに、あらためてKAT-TUNの本質を見た気がした。もしやKAT-TUNの存在とはすでに、アイドルというより、エピック(叙事詩)そのものなのではないか。これが先頃のアルバム、『NO MORE PAIИ』のリード・トラック、「N.M.P. (NO MORE PAIN)」を耳にしたときの印象であり、そうした推測を裏づけるほどのインパクト、エキサイティングなショーを、まさに目撃する。

 じっさい、エピックと呼ぶに相応しいイメージの「N.M.P.」でコンサートは幕を開けた。客電が落ちるやいなや、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷くんにイントロデュースされ、ミュージック・ヴィデオのオープニングどおり、メンバー個々の映像と壮大なオーケストレーションが流れる。天井だ。宙から降りてくるゴンドラに乗って5人が登場し、衣装も含め、あのファンタスティックでサイバティックな「N.M.P.」の世界像を再現するのである。メロディはゴージャスな明暗を描き、田中くんのラップが扇情的に、しかしてやはりクライマックスで〈Nooo Paaaaaaaaaaaaaain〉と声を張る上田くんはエモーショナルだ。

 痛みは要らない。その想いが残響となってもまだ、ゴンドラは下がり続ける。だが、じょじょに地上までの距離を縮めるなか、「FALL DOWN」のアグレッシヴなミクスチャー・ロックが炸裂する。歌詞にある〈暴走まるでCrazy train〉の一節よろしく、ステージに設置されたモニュメントが、巨大な爆発音をともない、倒壊してゆく。なるほど、公開リハーサルで見られた演出は、ドームのサイズに拡大されるとこうなるんだ。迫力は二倍三倍に増した。びびって、わっとなってしまったじゃねえか。

 いずれにせよ、もうKAT-TUNのコンサートははじまっているんだぞ、という興奮に包まれている。それが夢でも幻でもないことを続く「Real Face」は高らかに宣言していただろう。ここから地上に降り立った5人が「ONE DROP」、「Keep the faith」とハード・ロックを序盤に展開するさまは、今やお決まりのパターンとはいえ、どうしたってテンションを引き上げられてしまう。バックをつとめるFiVeの演奏ものっている。個人的には、牧野くんのドラムにもうちょい重みが出ていればなおよかった、少し音が硬めなんじゃないかな、と思う。しかし畳み掛ける勢い、アタック、アタック、アタックは、間違いなく「ONE DROP」のせつなかっこうよさに似合っていた。

 引き上げられたテンションは、「THE D-MOTION」と「Love yourself〜君が嫌いな君が好き〜」でダンスのモードにビートを違えられても、決して落ちることがない。どちらも赤西くんが担当したオートチューンのパートを田中くんをメインにしたラップへと差し替えたヴァージョンだ。それにしても「THE D-MOTION」の楽しさときたら。自然と体が揺れてくる。またスタジオ音源と大きく異なっているのは、締めの部分である。中丸くんのリフレインに亀梨くんのヴォーカルが重なり、余韻をつくる。ライヴならではのタッチをよくあらわしていて、これ、ぜひとも高く評価されたい。

 ソロ・コーナーへのブリッジとなる亀梨くんドラム・ソロは、まあご愛嬌であって、類い希なる色気が迸っているのを視認できるだけで満足なのだったが、田中くんの「MAKE U WET -CHAPTER2-」は、ちょ、ちょっとちょっと、ただでさえエロティックなナンバーが、女性ダンサーとの絡みを入れたパフォーマンスによって、さらにえらいことになっていた。曲調自体がじつはそうなのだけれども、性交をダイレクトにイメージさせるのは、おそらく、洋楽的な過激さを狙ってのものである。さてこの、いやらしさのむんむんに満ちた空気をどうしたもんか。

 田口くんがすごいのは、結局のところ、そこであった。どこまでもほがらかにチャーミングな笑顔の「LOVE MUSIC」で、さっきまでの猥褻なムードを一変させてしまうんだからな。そして和太鼓のセッション等を挟み、中丸くんは新旧のソロ・ナンバーをメドレーで繋げる。動の部分と静の部分が1曲ごとに入れ替わる。どうしてこの人はこんなにも器用なんだろう。「FILM」のやさしさに浸りながら、ついつい感心する。ソロのコーナーにかぎったことではない。先述した「THE D-MOTION」のくだりもそうだし、他のナンバーもそう、トークやコントの場面もそうだったのだけれど、今回のショーにおいて、中丸くんの活躍こそが、すべてのクオリティを左右していたのは紛れもなく。いくら褒めたって褒め足りねえよ。

 メンバーが出演しているテレビ番組や商品のCM、過去のミュージック・ヴィデオをバックのスクリーンに映し出すというブレイクを経、「DON'T U EVER STOP」、「RESCUE」、「LIPS」のヒット・パレードで、ふたたび5人が足並みを揃える。そうして膨らんだ熱気を、「愛のコマンド」のヘヴィ・ロックが、「GOLD」の初期衝動が、よりいっそう加速させる。ヤマだぞ、ヤマ場だぞ、中盤のヤマ場がやってきているぞ、と、誰に教えられるでもなく、実感する。たちまち燃え尽きそうだ。どうせなら燃え尽きてもよかった。

 休憩を兼ね、ファン・サービスの一環ではあるものの、トークのコーナーはいささか長く思われた。ツアーに帯同しているKis-My-Ft2を紹介し、彼らが自分たちの持ち曲である「祈り」と「FIRE BEAT」を披露する。後者においては、KAT-TUNの面々も一部に加わる。Kis-My-Ft2も好きなグループなので、こうしたドッキングは、スペシャルなイベントであれば、嬉しい。「祈り」の、北山くんと藤ヶ谷くんの、ツインで聞かせるヴォーカルは、言うまでもなく、甘い、痛み、を誘う。

 さあ、コンサートの本編もいよいよ後半戦である。「僕らの街で」は、FiVeがアコースティックで演奏するヴァージョンで歌われた。そして、きた。『NO MORE PAIИ』に収録された楽曲のなかでもひときわ感動的な「FARAWAY」が、ここで、きた。あくまでも個人的な感慨でしかないのだったが、半ばに〈生き急ぐことさえ / 君のためだと思ってた / もし世界の裏 / 離れても / 途絶えない絆 / 感じて〉というフレーズがあるじゃんね、それはそれとして胸を震わすのだけれども、ふいに現在の一片を欠いたKAT-TUNを重ねてしまい、よけいにはまる。だが、あたたかく波打った旋律に託されているのは力強い願い以外の何ものでもないので、悲しみに暮れない。

 明るいほうへ、明るいほうへ「RIGHT NOW」と「HELLO」のハイなアジテーションが導いていく。他のメンバーが姿を消し、田中くんと中丸くんのコンビが並び立てば、もちろん「ONE ON ONE」だ。初期の楽曲でもとくにこれが好きなのは、田中くんの尖ったラップがばりばりと憂鬱を引き裂く一方、中丸くんは真っ直ぐと伸びるメロディに繊細さを隠そうとする、そのコントラストに青の時代ならではの清潔なフラストレーションが預けられているからであって、つまりは若気の至りで世界と取り引きしているところが、燃える。

 かつてのモチベーションが「ONE ON ONE」を通じて再検証されたのち、上田くんからのソロ・コーナーに入る。この上田くんのナンバーが、やたらすぐれていた。てっきりアルバムから「RABBIT OR WOLF?」をやるのかな、と踏んでいたのだが、どうもそんな様子じゃないね、と首を傾げていたら、ピッチのはやい打ち込みがかかり、ニュー・ウェイヴともゴシックともヴィジュアル系とも似て非なる、耽美でアッパーなサウンドを繰り出してきたのである。メイド服の女性が数名、上田くんに従い、英語詞で綴られたナルシズムに振り回される。楽曲もパフォーマンスも一発で気に入った。

 亀梨くんの趣向も興味深かった。新旧のソロ・ナンバーをミックスし、一個のドラマに仕立てているのだけれども、独特なセンスのいかんなく発揮された構成には、やはり常人には及びもつかないものがある。Kis-My-Ft2のメンバーと咬みつ咬まれつのヴァンパイア劇を演じる姿に、女性の観客が歓声をあげるのはたぶん、やおいの幻想に近しいものがあるためだろう。中丸くんのビートボックスが相変わらず達者なのに、おお、と唸らされたのち、「Going!」を筆頭に終盤が訪れてしまう。

 さしあたり「ハルカナ約束」や「Will Be All Right」はパスされてしまったが、ファンにはお馴染みの「WILDS OF MY HEART」や「Peacefuldays」では、当然のこと、会場中が一体になる。本編のラストを『NO MORE PAIИ』からのバラード、「PROMISE SONG」で迎える。このへんは予定調和のきらいがあるにはあるものの、有終の美の、きらきらまばゆさに、ぐっときてしまうのだから弱るよ。

 そして馬である。アンコールの1曲目が馬だったのである。正直、そのイントロが響き出したとき、まさかもう一度「N.M.P.」をやるのかい、と斜に構える部分がなかったといえば、嘘になる。にもかかわらず、予想を越え、さすがにぶっ飛んだのは、メンバーが実物の馬に乗ってステージのワキから登場し、アリーナの周縁を回りながら、ひじょうに真剣な顔つきで「N.M.P.」に情感を込めていたことだ。要するに、アルバムの通常盤におけるジャケットを再現していたのだったが、ふつうそれは思いついてもやらない、しかしとうに詰まらない常識など突き抜けているのが、ずばりKAT-TUNにほかならない。

 威風堂々とした姿は、正しくエピックそのものであった。誰が文句をつけられよう。ショーの最中、赤西くんの不在について、まったく考えなかったわけではない。コンサートの内容が良ければ良いほど、複雑なものを覚えなかったわけではない。あるいは赤西くんがいたらと想像しない場面もなかったわけではない。だがアンコールのインパクトはありとあらゆる疑念を吹っ飛ばしてくれる。

 英雄たちはみな、いくつもの危機をかいくぐり、ときには敗北し、ついには勝利を収めるからこそ、エピックの価値を持ちえるのだし、KAT-TUNにとっては、ありえない、ということが、ない。それだけは疑いようのない事実なのだ。「Peacefuldays」の歌詞を借りるならば〈ソレだけがすべてソレだけを望もう〉なのである。少なくとも「Going!」のリピートにより、3時間強のステージに幕が降りるまで、何も怖くない、そう信じられるほどの幸福に身を委ねていた。

 ところで中丸くんが、ブログを持っている人はKAT-TUNのコンサートがすばらしかったと書いてね、みたいなジョークを最後の最後に言っていたが、ちくしょう、このブログはいまいちだよ、あまりうまく書けていない。

・その他KAT-TUNに関する文章
 『NO MORE PAIИ』について→こちら
 「Going!」について→こちら
 「Love yourself 〜君が嫌いな君が好き〜」について→こちら
 『Break the Records -by you & for you-』について→こちら
 「RESCUE」について→こちら
 「ONE DROP」について→こちら
 「White X'mas」について→こちら
 『KAT-TUN III - QUEEN OF PIRATES』について→こちら
 「DON’T U EVER STOP」について→こちら
 「LIPS」について→こちら
 「喜びの歌」について→こちら
 『Cartoon KAT-TUN II You』について→こちら
 『Live of KAT-TUN “Real Face”』DVDについて→こちら
 「REAL FACE」について→こちら

 DVD『KAT-TUN LIVE Break the Records』について→こちら
 DVD『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』について→こちら

 コンサート『KAT-TUN LIVE TOUR 2010 公開リハーサル』(4月28日・さいたまスーパーアリーナ)について→こちら
 コンサート『不滅の10日間ライブ KAT-TUN TOKYO DOME 2009』(09年・東京ドーム)
  6月15日の公演について→こちら
  5月22日の公演について→こちら
  5月18日の公演について→こちら 
 コンサート『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』(08年8月5日・東京ドーム)について→こちら

・その他赤西仁、LANDSに関する文章
 『Olympus』について→こちら
 「BANDAGE」について→こちら

 コンサート『赤西仁 Star Live 友&仁 You&Jin』(2010年2月8日・日生劇場)について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(2010年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/156631380