ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年03月28日
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 『向こう町ガール八景』は、衿沢世衣子の新しい短編集で、デビュー作「カナの夏」をはじめ、『コミックH』や『アックス』にて発表されたものを収めている。どれもいいが、僕が、とく好きなのは「蜻蛉スコープ」と「オムレツ」の2編である。それらのどこにどう惹かれるのかを説明するのは難しいけれど、そういう、こちら読み手の言葉ではうまくすくえない、微妙な機微こそが、衿沢の魅力ではないか、といえば、そういえる。とはいえ、思い切ってシンプルに見積もれば、たぶん、家族の成り立ちに関するエピソードだからなのかな、といった気がしないでもない。「蜻蛉スコープ」は、ときに暴力をふるう、引きこもりの兄を持った少女が、不可思議な言動をする友人のおかげで、すこしばかり気が楽になる、という話で、「オムレツ」は、6年前に家を出て行った母親が、ぶらりと舞い戻ってき、唐突に再結成された家族に、大学生の〈私〉は戸惑う、というものである。生活の最中で、ふとした出来事が、彼女たちの、物の見方に、ささやかな変化を促すと、すり切れた日々のなかに、新鮮な情緒が、思わず、立ち現れてくるようだった。

 『おかえりピアニカ』についての文章→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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