ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年03月26日
 おせん 11 (11)

 休日の昼間からビールを飲めることほど素晴らしいものはない、と思う人間は、すべからく、きくち正太の『おせん』を読むべきじゃあないかな。そのようなわけで、この巻は、冒頭のエピソードからして、愉快であるし、粋の境地である。おせんさんは言うだろう。〈飲んだ翌日にゃァ 二度寝が一等賞でやんすなァ〉〈飲んだ翌日にゃァ 朝っ風呂が特等賞でやんす〉そして〈飲んだ翌日の大トリにひけえしは〉何か? といえば、そりゃあもちろん、冷えたヱビスのビールなのだった。しかし前日に、ストックしてあった分をぜんぶ〈宵越しのビールは持たねえぜ〉とばかりに、お客さんにふるまってしまったので、なかなか一杯のビールにありつけない、おせんさんの悪戦苦闘ぶりが、なかなかにキュートである。続いて、蚕豆の茹で方から、すいとんの拵え方へ持っていく、エピソードの繋げ方も堂に入っており、ほんとうに惚れ惚れする。この巻の大部分を占めるアワビのエピソードにおいては、女優と脚本家そして玄人海女の、それぞれのプロフェッショナリズムが鎬を削るなかで、料理の在り方が、ちゃんと調停の役割を果たしている、そういった物語のあつらえ方がまた、じつに見事といえる。全体の進行自体は、もはやルーチンに入ってしまった感がなきにしもあらずだけれど、エンターテイメントのレベルは、未だ目減りしていない。

 10巻について→こちら
  9巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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