ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年03月26日
 東京トイボックス 1 (1)

 『東京トイボックス』は、一言でいってしまえば、ゲーム業界を舞台とした、成功と挫折の物語である。作者うめ(TAKAHIRO OZAWA & ASAKO SEO)の絵柄は、『ちゃぶだいケンタ』のころのイメージと比べると、日本橋ヨヲコ+遠藤浩輝ふうになっている気がするのだが、じつはストーリーのほうも、そういう、モラトリアムの終焉で青い時代の息吹を持て余す、といった感じのものになっている。IT総合企業に勤め、その優秀な仕事ぶりから、若いながらも社内の評価は高い月山星乃の、密かな楽しみは、日曜の朝に戦隊特撮ものを観ながらリラックスすることであった。しかし、あるとき、そうやって和んでいる最中に、彼女の部屋のドアがピッキングされ、開く。一階下の住人で、カギを失くしてしまった天川太陽が、部屋を間違えたのだ。汚く臭い身なりの天川を、速攻で警察に突き出す星乃であったが、そのようにして出会った男の、ゲームに対する情熱と、天才的な才能が、やがて自分の仕事を救うだとは思ってもみなかった。まあ、おもしろいといえば、十分におもしろいのだけれども、『ちゃぶだいケンタ』のときのような、無様さや惨めさを引き受け、前倒しにしていくヴァイタリティは失しられており、言い換えれば、無難なおもしろさに落ち着いている。その点をどう受けとるかは、もちろん好みの領域であろう。ゲーム関連の知識もそうだし、某アニメを彷彿とさせる台詞回しや登場人物プロフィール欄の小ネタとかは、主人公たちと同世代の、70年代生まれの人間には、ノスタルジーも含め、相応のフックとして機能するんじゃないかしら。ただ個人的には、こうした団塊ジュニアの層を中心とした、モラトリアムの延滞を、表現ないし消費するのはそろそろ如何なもんだろ、というのがあって、その先をどれぐらい射程に入れているのか、この1巻の段階では、ぜんぜん見えてこないのが、むず痒い。まあ、それは、あくまでも読み手である僕の問題にしかすぎず、作品自体の評価とは関係のないことなのかもしれない。先ほどもいったが、話の運びに関してはおもしろい、読ませるものがある。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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