ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年05月19日
 A−BOUT!(2) (少年マガジンコミックス)

 いうまでもなく、不良少年を題材としたフィクションの闘争においては、階級(学年ヒエラルキー)とテリトリー(地区予選的枠組み)の二つが最大の指標となる。もしかするとこれは、等しく学園を舞台にしている以上、スポーツ・マンガにも通じる点であるのだったが、しかし00年代以降、ヤンキー・マンガのジャンルでは、高橋ヒロシの『WORST』が象徴的なとおり、前者は組織化された宗教(もしくは字義ままのギャングやヤクザ)を扱うかのごとく小さくまとまっていき、後者を熾烈に肥大、それがちょうど国盗り合戦や軍記物のスタイルを彷彿とさせる傾向がつよくなっていった。どうしてなのか、の考察には余程の時間をかけなければならないので、さしあたり置いておきたいのだけれども、2010年代に入り、またすこし様子が違ってきているぞ、と感じられるのは、たとえばこの、市川マサの『A-BOUT!』のように、階級(学年ヒエラルキー)を燃料にアウトサイダーの闘争を描く作品があらわれはじめているためである(おそらくは細川雅巳の『シュガーレス』も同様に見ることが可能であって、現時点では平川哲弘の『クローバー』や吉沢潤一の『足利アナーキー』との差異もそこに設けられるだろう)。不良少年ばかりの集まった私立光嶺高校、転校生の朝桐真之輔は、自分が新顔であることを気にしない。まだ一年の立場であることもまったく顧みず、上級生にケンカを売り、はたまたでかい態度をとっているせいで、同級生にケンカを売られ、騒動、騒動、騒動を繰り返すうち、校内で注目の的になっていく。『A-BOUT!』について、現在2巻までの概容を述べるとすれば、こうなる。主人公、朝桐の個性はたしかに、フル出力のわがままっぷり、まるでギャグでしかないほどの傲慢な態度、ずばり頭の悪い様子にあるわけだが、それが物語にとって重要なのは、光嶺高校という制度のなかで徹底されていた階級(学年ヒエラルキー)に、ノーを突きつける、かのような役割を担っているからにほかならない。そしてそれに対する反発として、同調として、80人の軍団を率いる砂原、狂犬としておそれられる柾木、意外な実力者でメガネの瀬下など、朝桐と同じ一年生である彼らの姿が描かれ、直線状のストーリーを起伏のあるものにしているのだし、作中人物たちの連なりが、まず先にイデオロギーありきではなく、必ずしもコミュニティの問題と一致していないところもまた、本作の特徴だといえる。

 1巻について→こちら


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