
正直なところ、RATTのいくつかの作品より、ヴォーカルのスティーヴン・パーシーがその後やっていたARCADEのファースト・アルバムのほうが、疾走性が高く、アグレッシヴであり、ダークさもあって、好きに思っていた人間だから、今さらLAメタルだラットン・ロールだの言われても、どうかな、だったのだけれども、11年ぶりとなる新作『INFESTATION』のリリースに際し、まさか『ロッキング・オン』の5月号(先月号)に、ギターであるウォーレン・デ・マルティーニのインタビューが載っているのを目にして、驚き、『BURRN!』の5月号(これも先月号)で、バンドに対して理解の深い広瀬和生が95点のレビューをつけているの見て、驚き、まあいくらでも穿った見方はできようが、しかし以前だったらまったく考えられなかった事態に興味を持たないはずがないんだ。じっさい、なんだよ、これ、すげえいいじゃねえか。サウンドのスタイルは、定型的なアメリカン・ハード・ロックであり、その、良くも悪くも期待を裏切っていないところが、ファンには納得の魅力ではあるものの、いやむしろ、いったんは前線からはねられた感のあるベテランが、ふたたび、これほどまでにエネルギッシュな作品を送り出してきたことが、ブリリアントなのである。するどくエッジを立て、切り込んでくる1曲目の「EAT ME UP ALIVE」、AEROSMITHやVAN HALENをルーツにしていたことを正しく追確認させるかのような2曲目の「BEST OF ME」等々、90年の『DETONATOR』や97年の『COLLAGE』では失われて久しかったフレッシュさを取り戻しているのが、嬉しい。どのナンバーにもつよいフックが備わっており、爽快にかっ飛ばす。見事なる復活劇を遂げた以上の価値がある。
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