ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年04月13日
 真夜中だけは好きでいて 2 (フラワーコミックス)

 駆け出しのCMプランナーであるヒロイン、春日まどかの恋した相手、桐谷純はライヴァル会社の営業マンであり、悪質な手段を辞さないことでその名を知られていた。しかしまどかの純真で一途な姿は、次第に桐谷の頑なな心を解していく。お互いにお互いを必要とし合う二人であったが、お互いがお互いを必要とすればするほど、結ばれるのは困難であるように思われてしまう。はたしてこの想いは諦められなければならないのか。それが相手のためであれば、自分の気持ちは殺そう、平静でいよう、そうつとめているにもかかわらず、激しく焦がれるばかりなのであった。畑亜希美の『真夜中だけは好きでいて』は、2巻に入り、まどかと桐谷の相思相愛が、両者を各々めぐる二つの三角関係が折り重なることによって、よけい波乱含み、さらに障害の与えられた様子を描く。以前にもいったとおり、ストーリー自体は、いかにもメロドラマティックな筋をなぞらえているにすぎないのだが、これもまた述べたように、作者ならではの手つきが、その、紋切り型ですらあるラヴ・ロマンスの光景を、なかなかのものにしている。人間関係はすっかり泥沼にはまっているのだけれども、それがコメディに近しいテンション、テンポのよさで繰り広げられているため、じめじめ暗くて重たくなるはずの内容に、意外なまでのさやわかさが出てきているのである。桐谷の過去、復讐劇であるような側面、彼に目をかけるMM広告の社長がマゾヒストふうであるなど、アイディアの一つ一つが見え透いていることに驚かされはしないが、それは必ずしも作品の印象を悪くしていない。物語のレベルで、というよりはむしろ、心情のレベルで、作中人物たちの表情を豊かにしている。このことはとくに主人公であるまどかの、どれだけ悩み疲れても明るさの失われない資質に、よく生かされており、結局のところ、桐谷や同僚の幸村が、彼女に惹かれるのもそこだろう。広告の業界を舞台にしている必然性にしても、働く女性を題材にしたリアリティにしても、1巻の時点と比べるに乏しくはなっていて、そのへん、評価が分かれてくるかもしれない。だが、恋愛のままならなさ、ままならなさにも耐えなければならないせつなさは、十分なぐらい胸に響く。

 1巻について→こちら

・その他畑亜希美に関する文章
 『ベイビー☆キスをどうぞ』
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら

 『ベイビー☆お手をどうぞ』について→こちら
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