ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年03月17日
 これはたいへんキュートな初恋の物語であって、とにかくもう、ひよりん、というヒロインの一挙手一投足を目の当たりにしたとたん、ああちくしょう、そのたどたどしくぎこちない慕情を心から応援したくなってしまうよ。高校入学の前日に事故に遭い、12月になろうかという時期にようやくクラスに復帰した西山ひよりは、生来の人見知りもあり、はたして皆に溶け込めるかどうか、大きな不安を覚えながら、担任の教師に紹介されるのであったが、そのとき遅れて教室に入ってきた男子、広瀬結心とたまたま横に並ぶことになってしまい、二人の身長差があまりにも著しかったため、べつの意味で注目をされる。ひより、140p。広瀬、190p。席も隣同士となった二人は、見栄えばかりか、性格も対照的であり、人当たりもよく、大勢に好かれる広瀬と接するうち、ひよりは彼のことを意識せずにはおれなくなる。しかし広瀬と親しくなればなるほど、不釣り合いな自分を思い知らされる。以上が、雪丸もえの『ひよ恋』1巻に描かれている、だいたいのあらましである。最初に書いたとおり、広瀬から、ひよりん、と呼ばれるヒロインのいじらしさに、このマンガの魅力は負うところが大きい。いやまあ、正直にいって、現実で身近にいたならば、少々いらっとさせられるタイプであるかもしれない。けれども、そこを好感の抱ける人物像にまで持って行けているあたり、作者の手腕を買える。ひよりに対する周囲の人物たち、とくにやはり広瀬の態度がよいのだ。もしかすればネガティヴな印象になりかねない彼女の資質に、それ以上の、勇気や元気が前向きにあらわれてくるふうな一念を与えているのは、まず間違いなく、広瀬のあかるさ、おおらかさなのであって、もちろん、そうした影響のありようが、初心なラヴ・ストーリーの、片思いの喜びと辛さのよくすくい取られた展開、さしあたり、ひよりん、がんばれ、と声をかけたくなる瞬間をもたらしている。

・その他雪丸もえに関する文章
 『SWEET16』について→こちら
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