ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年02月19日
 Love yourself ~君が嫌いな君が好き~【初回限定盤1】 Love yourself ~君が嫌いな君が好き~【初回限定盤2】 Love yourself ~君が嫌いな君が好き~

 これは新展開といっても差し支えがないだろうね。いやもしかしたら予兆とすべきは、打ち込みの大胆な前シングル「RESCUE」の時点ですでにあったのかもしれないが、あの性急なビートが、「喜びの歌」もしくは「Keep the faith」以降におけるハード・ロックのモードを大きく裏切るほどではなかったのに対して、通算11作目となる今回のシングル「Love yourself 〜君が嫌いな君が好き〜」で聴かれる曲調、アレンジは、完全に過去との路線を異にしている。

 主題歌に使われているテレビ・ドラマ『ヤマトナデシコ七変化』のクレジットタイトルのイメージがあるからか、ストリングスと電子音的なリズムの入り混じったサウンドは、エレ・ダンサブルっている(おそらくこんな言葉はないのだが、まあ)。しかし初期の「SIGNAL」が持っていた軽快さともまた違ったアプローチとなっている点に、「Love yourself 〜君が嫌いな君が好き〜」の本領があり、KAT-TUNの新たな音楽性、方向性、引き出しがひらかれているように思う。

 これまで、すくなくともシングルに関しては、亀梨くんと赤西くんのヴォーカルが、交互に、あるいはダブルとなり、メインのパートをつとめるパターンが多かったわけだけれども、今回はかなりの部分、亀梨くんに単独で任されている。かわり、オートチューンを通じ、要所で、赤西くんはその存在感を見せている。亀梨くんの歌声にエフェクトのかかるところもあるが、コーラスのあと、機械仕掛けに変化させられたヴォーカルで、赤西くんの入れてくるタイトル名どおりのフレーズが、絶妙なアクセントとなっていることは間違いなく。また後半において、オートチューンを被せながら、英語詞をスピーディに挟んでくるあたりも、楽曲の印象を左右するぐらいのアピールがある。

 決してリニアーな連なりではないものの、赤西くんに担われた〈It's love, your love.....love yourself〉=「Love yourself」が一つのフックをつくれば、亀梨くんの担う〈その瞳を僕にあずけて / 君が嫌いな君が好き〉=「君が嫌いな君が好き」が一つのクライマックスをつくる、そのようなかたちで「Love yourself 〜君が嫌いな君が好き〜」という一つのバランスが取られているのでは、と解釈することもできる。他方、田中くん(JOKER)のラップは、以前にも増して、するどく、色気があり、赤西くんのオートチューンとはべつの角度から、楽曲の展開を、さらに魅力的になるようフォローしているのだった。もちろん、メンバーのユニゾンで盛り上がるメロディの、心地好さ、ひじょうにキャッチーですぐれていることが、すべてにたんなるギミック以上の恩恵をもたらしている。

 余談になるが、田中くんのラップに、中丸くんのビートボックス、赤西くんのオートチューン、これらのフルに機能させられたハイ・スペックなナンバーがやがて生まれる可能性を考えたら、わくわくしてしまうよ。すくなくとも、アイドルの枠内で、はたまたアイドルの枠内を飛び出し、それだけのことを実現させられるポテンシャルと期待を、KAT-TUNというグループは有する。

 だいたい、初回限定盤の2ヴァージョン、そして通常盤のぜんぶで、2曲目に収められている「THE D-MOTION」にしても、過去の楽曲を例に出すなら「12 o'clock」と似て非なるアプローチといえるかもしれないが、じつに冒険的な一作で、ここではもはや全員の歌にオートチューンが用いられており、じつは昨年のカウントダウン・コンサートで耳にしていて、そのさいDAFT PUNKかPerfumeかといった印象を抱いたのは、要するに、エレクトロニック・ミュージックを経由したアッパーなダンス・チューンだったからなのだけれど、各人にマークされた差異こそがウリになりうるジャニーズにあって、そのヴォーカルが、楽曲の仕様に合わせ、過剰に加工されることは、はたして吉となるかしら凶となるかしら、こうした問いに対し、真っ向から挑み、たしかな成果をあげている。

 どれだけエフェクトを施されていようが、ファンならば十分に聞き分けられる、というレベルにかぎったことではなく、メンバー6人が正しく適材適所のスタイルでコントラストをなし、それが反復するビートのなか、ある種の起伏を激しくしている。微かにグラデーションを変化させるバックのトラックはひじょうに楽しいのだが、中丸くんのビートボックスを含め、ヴォーカルのタッチがわかりやすく、さまざま、彩りを次々替えていくことで、楽曲の表情を豊かにしているのである。

 とくに終盤、〈まだ終わらない / 今夜What a party night / 乗ってかない? / 迷う気持ちはRight〉という亀梨くんの物憂げなパートを、赤西くんが〈I like that way ur move / I see ur body wave〉と受け、さらに〈Da da li da la da da la Shake it!Drink it! Pump it!〉というフレーズで勢いよくはじく、その瞬間のかっこうよさときたら。ああ、これがKAT-TUNだ、そう思わされるコンビネーションに胸躍る。

 通常盤3曲目の「HEART BEAT」は、疾走と爽快にあふれるアイドル・ポップスの佳作といってよい。ストリングスの明るみを主体にした曲調は、むしろ今の嵐に似合っていそうだが、個々のヴォーカルの際立ち、ドラムの強いアタックに誘われ、じょじょに熱っぽく、やがて重なり合うそれに、このグループならではの、しるし、が刻まれている。「THE D-MOTION」とはべつの意味で、匿名性のうちに記名性が立ち上がる。

 初回限定盤の片方で聴かれる亀梨くんのソロ・ナンバー「愛しているから」は、センチメンタルなピアノのバラード、悪くはないものの、他の収録曲と並んだとき、ややシンプルすぎ、あまりはっとしないのはもったいなく。もう片方、赤西くんが作詞作曲に関わった「A Page」は、彼のソロ公演でも披露されていたが、洋楽指向といえるような、打ち込み、全編英語詞の、メロウなナンバーである。ここでもオートチューンが大活躍しており、赤西くん、まじでそればっかだな、と思いつつ、楽曲の雰囲気を濃くしているのは、あきらか。

・その他KAT-TUNに関する文章
 『Break the Records -by you & for you-』について→こちら
 「RESCUE」について→こちら
 「ONE DROP」について→こちら
 「White X'mas」について→こちら
 『KAT-TUN III - QUEEN OF PIRATES』について→こちら
 「DON’T U EVER STOP」について→こちら
 「LIPS」について→こちら
 「喜びの歌」について→こちら
 『Cartoon KAT-TUN II You』について→こちら
 『Live of KAT-TUN “Real Face”』DVDについて→こちら
 「REAL FACE」について→こちら

 DVD『KAT-TUN LIVE Break the Records』について→こちら
 DVD『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』について→こちら

 コンサート『不滅の10日間ライブ KAT-TUN TOKYO DOME 2009』(09年・東京ドーム)
  6月15日の公演について→こちら
  5月22日の公演について→こちら
  5月18日の公演について→こちら 
 コンサート『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』(08年8月5日・東京ドーム)について→こちら

・その他赤西仁、LANDSに関する文章
 『Olympus』について→こちら
 「BANDAGE」について→こちら

 コンサート『赤西仁 Star Live 友&仁 You&Jin』(2010年2月8日・日生劇場)について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(2010年)
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