ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年02月09日
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 註)ショーの内容について、ある程度踏み込んでおります。ネタバレを気にする方はご注意ください。ふだんこのような但し書きをしないのですが、長い日程の公演がまだはじまったばかりの時期なので。


 昨日(2月8日)は、そう、『赤西仁 Star Live 友&仁 You&Jin』を観に日生劇場へと向かったのだった。が、いやしかしこれが、良くも悪くも、赤西仁というカラーが如実に反映されたステージとなっていたように思う。

 昨年、KAT-TUNのコンサートで披露されたソロ・ナンバー「WONDER」(クリスタル・ケイとのコラボレイト)からうかがえたとおり、ひじょうに洋楽指向が強いというか、モダンなブラック・ミュージック、R&B、ヒップホップのスタイルを大幅に取り入れるていでセット・リスト、ステージのおおよそは構成されていたのである。今回のために用意された楽曲のほとんどが英語詞であったのも、無意味に気取っているわけではなく、おそらくは、どのような音楽性を実現するか、のモチベーションをダイレクトにしていたためだろう。

 個人的にはすっかり、「WONDER」の、そのセンス、低音の響き、ヴォーカルのかっこうよさに魅了されてしまったタイプだから、否が応にも興奮し、体を揺らさざるをえない部分が多かったのだけれども、ショーの全体を敷衍してみれば、もうすこし緊張感があふれかえっていてもよかった。わっと幕が開くのではなしに、ゆるゆる、じょじょに熱を入れてゆくオープニングはともかく、ファンの思い入れとはべつのレベルで、圧倒的なカリズマに驚異させられるぐらいの展開、ハイなヴォルテージが臨界を越えてゆくほどの演出はなかった。まあ、まだ公演二日目であるし、今後に調整される点が出てくるのかもしれないし、はりきりが必ずしも目に見えず、どこかリラックスしたムードを漂わせているところが、じつに赤西くんらしい、といえば、たしかにね、頷くよりほかないんだ。

 印象深かったのは、英語詞のオリジナル・ナンバーが連続してゆく前半である。これがKAT-TUN本体からは離れたソロ公演であることの醍醐味は、ほとんどそこに集約されていたとさえ感じられた。先ほど述べた「WONDER」が披露されたのも同じ流れのなかであって、KAT-TUNのシングル『Love yourself 〜君が嫌いな君が好き〜』に収録のソロ・ナンバー「A Page」や、同じく『DON'T U EVER STOP』に収録の「LOVEJUICE」もばっちり決まっており、正直、このままの調子で最後までいったらけっこう自慢になるぞ、と期待させられたのだった。

 ただし、いささか時代的な傾向を踏まえ過ぎたせいか、オートチューンを使用した楽曲ばかりであったのは、せっかくの生の舞台で歌声を堪能するには、功となっていない。ぶっちゃけ、はじめて耳にするナンバーが多い以上、オリジナルのヴァージョンがどのような音程であるのか知れないので、じっさいにヴォーカルをとっているのか、はたしてリップシンクでしかないのか、自分がいた客席からはほとんど判別がつかなかったからね。シンガーとしての赤西仁を高く買っているだけに、残念を覚えるものがあった。

 他方、バックをフォローする外国人メンバーに、しばしばコーラスを委ねたり、ラップを任せたりしていたことに関しては、決して悪い印象を持たない。それはつまり、前記したとおり、どのような音楽性を実現するか、意識の面に由来しているのだと解釈される。もちろん、オートチューンだってそうじゃん、といわれれば、そうなのだけれど、たんにバランスの問題にすぎないのであって、もっと剥き身の歌声を響かせるシーンがたくさんあって欲しかった。

 しかして「LOVEJUICE」のあと、趣向に変化が訪れる。「BANDAGE」によって、ダンサブルな路線を離れ、ロックのモードへと突入していくのだった。LANDSとしてはすでにラスト・ライヴが行われしまったため、『Olympos』の楽曲ってやったりするものかしら、という疑問があったのだが、やっぱり、やった。だが、今回のヴァージョンはLANDSではない。あくまでもバック・バンドにFiVeを伴ったヴァージョンとして聴かれるべきだろう。上里くんと牧野くんのリズム隊は相変わらずタイトであって、低音のグルーヴをよく通らせる。中江川くんのギターがソリッドに決まる。そして石垣くんのキーボードの入り方に、LANDSとは異なる音色が預けられていたように思う。

 続く「care」を経、第一部が終了、30分の休憩が設けられる。どのような事情でそれが必要とされているのかはわからないが、さすがに30分のインターヴァルは長すぎるよ、と言いたかった。第一部、第二部ともに、一時間弱のセット・リストでは、それほどのクール・ダウンを欲しがれない。

 ここで空いた間を、しかし埋めるのではなく、生かすかのごとく、第二部は落ち着いたテンションで、はじまる。外国人メンバー数人と赤西くんが、椅子に腰掛け、輪になって歌うのは、レナード・コーエンのカヴァー「Hallelujah」だ。ほら、こういうところにも洋楽指向が見て取れるわけなのだけれども、ジェフ・バックリィのヴァージョンを挙げるまでもなく、アーティストの資質が直接に問われるナンバーなので、小節ごとにヴォーカルのパートを分けるというアイディアは、たしかに気が回ってはいるものの、ここでこそ赤西くんの独唱が聴きたかった、というのが正直なところ。「Hallelujah」のあともカヴァーを披露、そもそもはウィノナ・ジャッドのナンバーで、エリック・クラプトンのヴァージョンで知られる「Change The World」である。これは赤西くんが穏やかさの混じったエモーションでしっかり歌いあげる。

 MCのコーナーがやってくるのは「Change The World」の余韻が静かに残るなか、地べたに座り込んだ赤西くんが、感謝の言葉などを述べ、観客をいじり、そして次からの楽曲が公演のタイトルにかけ、友人たちとの共作である旨を伝える。

 まずは映画『BANDAGE』で共演した金子ノブアキが作曲に関わった「Paparats」で、なるほど、フラットなインダストリアルの質感からラウド・ロックのダイナミズムに変化してゆくナンバーには、そのニュアンスが備わっている。次いで錦戸亮とのレコーディング風景がVTRで流れると、アップ・テンポで賑やかな「Hey Girl」がスタートする。明るい曲調に合わせ、ダンサーや着ぐるみがアメリカン・コミックふうの寸劇をバックで織り成すのが、とてもキュートだ。全体的にセクシーな場面が多いなか、ここが一番カラフルにはじけていた。

 そうして「Hey Girl」が止むと、しばらくのあいだ、ダンスのセッションが繰り広げられることとなる。さまざまなジャンルのダンスを、外国人のダンサーを左右にしながら、次々と移り渡ってゆくのだが、ステージ前方に張られた薄いスクリーンとライティングによって描かれるマジカルな光景が、目に楽しく。この演出は、続く「ha-ha」でも効果的に発揮されていた。そして「ha-ha」から「My MP3」へ、前半のようにダンサブルな路線にいったん戻すと、いよいよショーも終盤に差し掛かる。

 終わりのときが近づいているのだ。ステージの後方、巨大な球状のセットが組まれており、その上部に立ち、歌われるのは、せつなさをいっぱいに込めたバラードの「Eternal」である。ああ、ここにきてついに、赤西くんのヴォーカルが、感動的な叙情を孕む。そこはかとなく悲しんだメロディに、泣いてもいいし、胸を熱くしてもいい、そうやって誰かのことを想ってもいい、ささやかな報いが、許しが、しかし確実に満ちていくみたいであった。

 ラストを飾ったのは、序盤にも披露された「Keep it up」であり、ふたたびこのアッパーな楽曲が持ってこられたことで、大団円の箔がつく。バックのメンバーも総出、一人一人の笑顔が眩しく。やがて皆、ステージを去る。残念ながら、どれだけの拍手が再登場を求めようが、アンコールはなかった。

 いくらか注文をつけてしまったのは、期待値が高かったからで、それを抜きにすれば、総じて楽しいパフォーマンスだったと思う。じっさい盛り上がるべきところは最高潮に盛り上がったし、ファンとしては、こういう機会はあればあったで、とても嬉しい。しかしながら、ソロ公演において支配的な、個の強さ、を、まざまざ確認できたかというと、少々辛くならざるをえない。今の段階では、翻って、KAT-TUNの、ピースの、一つであるときのあの輝きが、尊くなる。

・その他LANDSに関する文章
 『Olympus』について→こちら
 「BANDAGE」について→こちら

・その他KAT-TUNに関する文章
 『Break the Records -by you & for you-』について→こちら
 「RESCUE」について→こちら
 「ONE DROP」について→こちら
 「White X'mas」について→こちら
 『KAT-TUN III - QUEEN OF PIRATES』について→こちら
 「DON’T U EVER STOP」について→こちら
 「LIPS」について→こちら
 「喜びの歌」について→こちら
 『Cartoon KAT-TUN II You』について→こちら
 『Live of KAT-TUN “Real Face”』DVDについて→こちら
 「REAL FACE」について→こちら

 DVD『KAT-TUN LIVE Break the Records』について→こちら
 DVD『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』について→こちら

 コンサート『不滅の10日間ライブ KAT-TUN TOKYO DOME 2009』(09年・東京ドーム)
  6月15日の公演について→こちら
  5月22日の公演について→こちら
  5月18日の公演について→こちら 
 コンサート『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』(08年8月5日・東京ドーム)について→こちら
posted by もりた | Comment(6) | TrackBack(0) | 音楽(2010年)
この記事へのコメント
こんにちは

はじめまして、匠と申します。突然の投稿失礼致します。ブログの一角をお借りして、公演情報を提供させて頂きます。

現代芸術界の奇跡とも目される「米国神韻芸術団」の2010年世界ツアーがいよいよ3月に来日します。

今回は4度目の来日公演になります。2010年の公演もこれまでと同様に、全く新しい超大作に仕上がっているようです。私はこれまで3年間の公演を全部拝見させて頂き、その感動がいまだに鮮明に記憶に残っております。今年はぜひ他の多くの皆様とその感動を分かち合いたいと思い、この場を借りて紹介させて頂きました。

チケット情報は次のホームページまで
http://www.ticket-online.jp/home/index.php?main_page=page&id=3

また、これまでの日本公演を観賞した作詞家の東海林良氏、作曲家の平井丈一朗氏、俳優の村田雄浩氏、芸能人のデヴィ夫人をはじめ、数々の有名人の方からコメントもあるようです。
http://www.epochtimes.jp/jp/spcl_shenyun_1.html
Posted by takumi at 2010年02月11日 14:04
森田さん、はじめまして。

赤西君についていろんな方のブログにお邪魔させて頂いているうち偶然、森田さんのブログに出会いました。

遡って前の記事も読ませていただきましたが『KAT-TUNが好き』とした上で、決して甘すぎず冷静な目で見ていらっしゃる所や、KAT-TUNや赤西君に対しての感じ方や思いが、どこか似ている気がして嬉しくなりました。

これからも楽しみに読ませていただきます。
Posted by YU at 2010年02月13日 09:46
YUさん、はじめまして。

KAT-TUNのことはほんとうに大好きでして、追いかければ追いかけるだけ余計好きになってしまい、自分では愛情をもって書いているつもりなので、そういってもらえるとありがたいです。

近いうち今回のシングルのことも取り上げたいと思っております。
今後もお時間があるときにでもお付き合い願えれば、うれしく。
Posted by もりた at 2010年02月13日 21:08
森田さん、こんにちは。

ご丁寧なコメレスありがとうございます。

新曲について…森田さんの感想を楽しみにしています。
Posted by YU at 2010年02月17日 14:11
こんばんは、赤西仁くんファンの48歳・息子只今受験生も仁くんファン2人で今回の友&仁は参加したいね〜とジレンマの毎日・・・
森田さんのブログを拝見して、なんだろう〜なるほど・うんうん、そうなのかて、身近に仁くんのライブを感じてしまいました。
今、冠番組も打ち切りになるようで、少し落ち込んでいた中での森田さんブログとの出会い、冷静な見方が、私にとって教えてもらえたきがします。これからも素敵なコメントお願いします。
Posted by mayu at 2010年02月27日 21:37
mayuさん、コメントありがとうございます。

息子さんもファンなのはいいですね。身内はもちろん、身近にそういう人間がいないので憧れます。そのかわりこうしてブログに書きつけている部分もありまして。まだまだ拙い文章ですが、今後とも(偶にでよいので)覗いていただければありがたく思います。
Posted by もりた at 2010年03月04日 13:06
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